逆流性食道炎の原因、症状、治療、予防可能性

  • 作成:2016/10/14

逆流性食道炎とは、文字通り、食道の部分で逆流が起きる病気です。原因、症状、治療や各種疑問を含めて、医師監修記事で、わかりやすく解説します。

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逆流性食道炎の原因はどんなもの?

逆流性食道炎の原因 食事、ストレス、タバコ、アルコールの関係は?

「逆流性食道炎(ぎゃくりゅうせいしょくどうえん)」とは、口と胃をつなぐ管状の器官である食道(しょくどう)に炎症が起こる病気です。

通常、食べ物は、口から入って食道を通り胃に入るという一方通行です。しかし、逆流性食道炎の場合は、胃酸や食べた物などを含む胃の内容物が、胃から食道に向かって逆流してしまいます。胃酸が逆流して食道に入ると、自分自身の胃酸によって食道の粘膜が障害されて炎症が起こる病気であるため、「逆流性食道炎」という名前がついています。

逆流性食道炎の原因である胃酸は食べ物を消化するため強い酸性となっていて、消化酵素も含んでいるため刺激性があります。

通常の場合、胃酸や食べた物が、胃から食道に逆流しないよう、食道の下部には「下部食道括約筋(かぶしょうどうかつやくきん)」という筋肉があり、この筋肉の働きによって、胃の内容物の逆流が防がれています。

しかし、胃酸の分泌量が多くなったり、下部食道括約筋の働きが弱くなったりすると、胃酸が胃から食道に向かって逆流しやすくなってしまいます。食道の表面の粘膜は、胃と異なって、胃酸の刺激に弱いため、胃酸が食道内に逆流してくると炎症をおこしてしまい、逆流性食道炎の状態になるのです。

逆流性食道炎の原因で最も多いのは生活習慣です。一度に、たくさん食べ過ぎたり、食事をとった後にすぐ横になると、胃の内容物が逆流しやすくなるため逆流性食道炎が発生しやすくなります。

食事の内容も重要です。辛いものや酸っぱいものなどの刺激物、脂肪分やたんぱく質の多い食品、消化の良くない食べ物などは、逆流性食道炎の原因の一つである胃酸の分泌を刺激したり、胃の中に、食物がとどまる時間を長くするなどの理由から、逆流性食道炎の発症率を上昇させてしまいます。

また、ストレス、タバコ、アルコールの多飲なども、胃酸の分泌を促進したり、胃腸の働きを悪くすることなどから、逆流性食道炎のリスクが高くなると考えられています。

他の原因として姿勢や肥満、加齢があげられます。極端に背中が丸くなっている方や、仕事などで日常的に前かがみの姿勢が多い方は、姿勢によって胃が圧迫されるため、逆流性食道炎を起こしやすいと言われています。また、高度の肥満の方も、腹部が圧迫され、逆流性食道炎になるリスクが高いと考えられます。

逆流性食道炎と加齢の関係について言えば、年齢を重ねると、下部食道括約筋の働きが弱くなることが知られており、胃酸が逆流しやすくなるため逆流性食道炎のリスクが上昇します。

逆流性食道炎とピロリ菌は関係ある?

逆流性食道炎とピロリ菌の関係についてですが、胃潰瘍や胃がんの原因の一つとして、ピロリ菌という菌が近年注目されています。

ピロリ菌は、胃の中に住む細菌ですが、ピロリ菌に感染している患者さんは、逆流性食道炎を起こすリスクが、明らかに低いということが分かっています。

ピロリ菌は、胃の内部に住み、ピロリ菌が胃の粘膜に炎症を起こすと、胃酸の分泌が障害されるため胃酸の分泌量が少なくなります。胃酸の量が少なくなると、胃酸が食道に逆流するリスクが低下するため、逆流性食道炎を起こしにくい状態になると考えられるのです。

また、胃炎や胃潰瘍の治療の過程で、薬を飲んで、ピロリ菌を除菌する場合がありますが、ピロリ菌を除菌したことで、後に逆流性食道炎を起こしやすくなるケースがあります。

逆流性食道炎と食道癌の関係

逆流性食道炎は、胸やけなどの症状を起こすことが知られていますが、たとえ症状がなくても、長期間にわたって、逆流性食道炎を放置すると、食道がんのリスクが高くなることが知られています。

逆流性食道炎の状態が長期間継続すると、食道の粘膜に「バレット上皮(ばれっとじょうひ)」と呼ばれる病変(病的な変化)が現れる場合があります。食道の粘膜と、胃の粘膜はもともと性質が異なり、食道の粘膜は「扁平上皮(へんぺいじょうひ)」、胃の粘膜は「円柱上皮(えんちゅうじょうひ)」と呼ばれる細胞から成っています。

逆流性食道炎の状態が長く続くと、扁平上皮からなる食道の粘膜の一部が、胃の粘膜の成分である円柱上皮に変化してしまうことがあり、この食道に存在する円柱上皮の部分を指して「バレット上皮」と呼ぶのです。バレット上皮が拡大し、食道の内部をぐるりと一周してつながった状態になると「バレット食道」と呼ばれます。

食道の内部に、バレット上皮が存在することは異常な状態であり、バレット上皮を長い期間放置すると一部が癌化して食道がんになることがあります。

そのため、逆流性食道炎は、長期間放置すると、食道がんを起こすリスクが高くなると考えられているわけです。したがって、たとえ症状があまりなくても、早期に治療を行ったほうが良いと考えられるのです。

逆流性食道炎と胃がんの関係

逆流性食道炎と胃がんの関係についてですが、逆流性食道炎が原因となって胃がんを発症するリスクはほとんどありません。胃がんの原因の一つである「ピロリ菌」に感染した状態では、逆流性食道炎のリスクが低いという事も知られています。

しかし、胃がんの手術を行った方、特に胃と食道のつなぎ目を含む胃の上部を手術で摘出した方は、逆流性食道炎を起こしやすくなります。理由としては、胃を摘出することで胃酸の逆流を防ぐ働きが弱くなり、胃酸が逆流しやすくなるためと考えられます。

逆流性食道炎と喘息の関係

逆流性食道炎と関連がある病気の1つに喘息があります。喘息の患者さんの半数以上において胃酸の逆流がみられるという報告もあり、喘息と逆流性食道炎には密接な関係があります。

逆流性食道炎が喘息を起こす理由として、胃酸が逆流して直接気管に入り、刺激することで喘息を発症させたり、喘息の症状を悪化させる可能性があると考えられています。また、人間の臓器が作られる過程において、食道と肺は共通性があり、互いに影響を及ぼしあっています。逆流した胃酸が食道の粘膜を刺激することで、神経を介して肺に影響を及ぼし、喘息の症状を悪化させている可能性が指摘されています。

喘息の患者さんすべてに逆流性食道炎がある訳ではなく、また逆流性食道炎がある方全員が喘息を起こすわけではありません。ただ、以下のような場合には、喘息と逆流性食道炎の合併を疑って治療を行う必要があります。

・喘息発作の前に、胸やけや酸っぱいものが上がってくるなど、逆流を疑わせる症状がある ・アレルギー体質が明らかでない喘息 ・横になった時や夜間に喘息の発作が起こりやすい ・食後に喘息発作が起こりやすい

喘息と逆流性食道炎を合併している場合は、胃酸の分泌を抑える薬を内服したり、暴飲暴食の停止、肥満の解消といった生活指導を含む治療が行われます。

一般的な気管支喘息の治療だけでは、なかなか症状が改善しない患者さんに対しては、胃酸の逆流を抑える治療を加えることで、喘息の症状が改善する場合があります。喘息がなかなか良くならない患者さんで、逆流の症状がある場合、主治医の先生に相談してみると良いでしょう。

逆流性食道炎と食道裂孔ヘルニアの関係

逆流性食道炎の発症には「食道裂孔ヘルニア(しょくどうれっこうへるにあ)」という病気が深く関与しています。

そもそも「ヘルニア」とは、体内の臓器などが、本来あるべき位置からずれてしまった状態を指します。私たちの身体の中には胸部と腹部を分ける「横隔膜(おうかくまく)」という筋肉の膜が存在します。

横隔膜には、血管や食道などを通す穴がいくつか開いていますが、食道が通る穴を「食道裂孔(しょくどうれっこう)」と呼んでいます。

食道裂孔ヘルニアでは、もともと腹部に存在する胃の一部が、食道裂孔から胸部にむかって飛び出してしまい、胃の上部の位置がずれてしまった状態を指しています。食道裂孔ヘルニアには、食道と胃のつなぎ目(噴門部:ふんもんぶ)が胸部に出ているタイプ、胃の一部が出ているタイプ、この2種類が混合したタイプがあります。

胃と食道のつなぎ目(噴門部)は、本来横隔膜の力で締め付けられ、胃の内容物や胃酸が、食道に向かって逆流しないような仕組みになっています。ただ、食道裂孔ヘルニアの状態になると、横隔膜が噴門部を締め付けることができなくなり、胃の入り口をうまく閉じられなくなってしまうため、逆流性食道炎が起こりやすくなるのです。

食道裂孔ヘルニアは、肥満、喘息、日常的なストレスなどによって、おなかの圧力が高い状態にあることが原因で起こります。その他にも、加齢によって食道裂孔がゆるくなったり、背中が丸くなって前かがみの姿勢が多い場合にも、起こりやすいといわれます。現代の日本では、日常的にデスクワークが多い方で、知らず知らずのうちに姿勢が悪くなっている場合があり、逆流性食道炎の発症に関係がある可能性があると言われています。また、生まれつき食道裂孔がゆるく、食道裂孔ヘルニアを起こしやすい方もいます。

逆流性食道炎の放置リスク

逆流性食道炎を放置すると、様々なリスクがあることが分かっています。逆流性食道炎そのものの症状としては、胸やけ、酸っぱいものや苦いものが上がってくる、のどのつまり、胸の痛みなどの症状が現れ、次第に重くなっていく場合があります。

胸やけなどの症状が軽い場合でも、食道の炎症が長期にわたると食道の粘膜が変性し「バレット上皮」という病変(病気による変化)が現れる場合があります。バレット上皮は、前癌病変(ぜんがんびょうへん:がんになる可能性がある病変のこと。がんの一歩手前の状態であり、注意して経過観察する必要がある)と考えられています。バレット上皮を、さらに放置すると、バレット上皮の一部から、食道がんが発生する可能性があることが指摘されています。

また、逆流性食道炎は喘息とも深い関係があり、喘息を発症させたり喘息の症状を悪化させて治りにくくする場合があると言われています。

このように逆流性食道炎は他の病気と関連する場合があり、症状が軽くても早期に治療を行ったほうが安全であると考えられるのです。

逆流性食道炎は完治する?

逆流性食道炎は完治する可能性があります。逆流性食道炎の原因は様々ですが、生活習慣に原因がある場合は、問題となる生活習慣を改善することで、逆流性食道炎が改善する可能性があります。

問題となる生活習慣とは、具体的には下記のような内容が当てはまります。

・食事:暴飲暴食、不規則な食事、脂肪分やたんぱく質の多い食品、辛いもの、酸っぱいものなどの刺激物が多い、食べてすぐ横になる
・ストレス
・肥満
・姿勢:猫背、前かがみの姿勢
・喫煙
・アルコール、コーヒーなどの多飲

また、逆流性食道炎の治療には薬の内服が効果的です。逆流性食道炎は胃酸が逆流することによって起こるため、胃酸の分泌を抑える薬や消化管の運動機能を改善させる薬、食道の粘膜を保護する薬などが、一般的に使用されます。具体的には、以下のようなものがあります。

・胃酸分泌抑制剤→胃酸の分泌を抑制する
・制酸剤→分泌された胃酸を中和して、食道粘膜への刺激を抑える
・消化管運動改善薬→食道の運動機能を改善して逆流を抑える、胃の運動機能を改善して食べ物が長時間胃にとどまらない様にする
・粘膜保護剤→食道の粘膜を胃酸の刺激から保護する、障害された食道粘膜を修復する

上記のような薬を内服し、問題になる生活習慣を改善することで、逆流性食道炎は完治する可能性があります。

ただ、胃の手術を受けた後の方や体質的に「食道裂孔ヘルニア」になりやすい方は、胃酸や胃の内容物の逆流を防ぐことが難しく、症状を軽くすることはできても、完治しない場合もあります。

逆流性食道炎の再発可能性

逆流性食道炎は一度症状が消失しても再発することがあります。これは逆流性食道炎の発症に様々な要因が存在するためで、例えば食事の時間や内容が不適切な場合、ストレス・喫煙などによっても、症状が起こる可能性があるためです。

逆流性食道炎の発症を防ぐには、規則正しい食習慣が大切です。時間を守ることだけでなく、辛いもの、酸っぱいものなどの刺激物や脂肪分・たんぱく質の多い食品を避けましょう。アルコールやコーヒーなども、逆流性食道炎の原因になるため、避けたほうが良いでしょう。これらの正しい食習慣を守ることで、逆流性食道炎の再発のリスクを低下させることができます。

また、肥満も逆流性食道炎の発症と関連があり、体重が増えると同時に逆流性食道炎が再発するケースがあるため、体重コントロールに気を配ることも大切です。

治療中も要注意です。逆流性食道炎の症状を抑えるためには、薬の内服が効果的であり、内服をやめると、症状が再発するケースが多いことが特徴です。現在、症状がなくても、薬の内服を継続することで、再発を抑えられる可能性が高くなります。

逆流性食道炎の予防方法

逆流性食道炎の予防では、生活習慣に気を配ることが大切です。食事を決まった時間にとり、辛いもの、酸っぱいものなどの刺激物や脂肪分・たんぱく質の多い食品を避けましょう。アルコールやコーヒーなども、逆流性食道炎の原因になるため、避けたほうが良いでしょう。

食後の姿勢も大切です。食後すぐに横になると、胃の内容物が逆流してしまい、逆流性食道炎のリスクが高くなってしまいます。特に、食後3時間は最も逆流が多い時間帯と言われているため、食後3時間程度は横にならないように気を付けることで、逆流性食道炎のリスクを低下させることができます。

また、喫煙やストレスも逆流性食道炎のリスクを高くすることが知られています。ストレスを避け、禁煙する事が、逆流性食道炎の予防につながります。

普段の姿勢も重要です。背中が丸くなったり、仕事などで前かがみの姿勢を長時間とる方は、腹部が圧迫されるため、逆流性食道炎を起こしやすいと考えられています。少しでも前かがみの姿勢を避けたり、お腹を締め付けるような服装を避けることが大切です。

また、逆流性食道炎の症状がある方は、夜間眠る際、少し上半身を高くした姿勢で眠ることで症状が改善したり、逆流性食道炎の予防につながる可能性があります。

逆流性食道炎のグレード分類 重症とは?

逆流性食道炎の診断は内視鏡検査(胃カメラ)によって行われます。「逆流性食道炎」と一口に言っても軽症から重症まで程度に差があります。胃の内視鏡検査では、食道粘膜の炎症の有無と程度(ただれ具合)によって、重症度の分類を行う事ができます。

食道炎の程度の分類方法は一般的に「ロサンゼルス分類」という分類方法が使用されています。ロサンゼルス分類では、グレード N、M、A、B、C、Dの6段階に分かれています。

【ロサンゼルス分類】

 N:正常
 M:食道粘膜が白濁するだけの微小変化型
 A:粘膜ひだ上に存在する粘膜障害が、直径5mmを超えない
 B:少なくとも1か所以上の粘膜ひだ上に、存在する粘膜障害が直径5mm以上で、連続しない
 C:1カ所以上の粘膜障害が、2条以上(2つのひだ)の粘膜に連続して広がり、全周性でない(食道の断面を円で囲むようになっていない)
 D:全周性の粘膜損傷

M~Bが軽症、C,Dが重症と判断されます。

また、重症の逆流性食道炎では、食道に潰瘍ができることがあります。その場合、潰瘍の部分から出血したり、潰瘍が治る際に傷跡がひきつれたようになって、食道の一部が狭くなる(狭窄:きょうさく)場合があります。重症の逆流性食道炎では、積極的な治療と定期的な内視鏡検査による経過観察が勧められます。

逆流性食道炎の自覚症状とセルフチェック項目

逆流性食道炎の症状 咳が出る?

逆流性食道炎の症状として咳が出る場合があります。一般的な逆流性食道炎の症状は胸やけ、苦いものや酸っぱいものが上がってくる、胸の痛みや胃の痛みなどですが、胃酸が逆流して気管に入ると、咳の症状が現れることが知られています。

胸やけなどの症状がはっきりせず、咳だけの症状を訴える方もおり「咳喘息」などの病名で治療を受けている場合もあります。

また、逆流性食道炎と喘息は深い関係があると言われており、喘息の患者さんの約半数に胃酸の逆流がみられるという報告もあります。

喘息の方の場合、胃酸の逆流が、喘息の症状を悪化させる場合があります。一般の喘息治療でなかなか症状が良くならない場合、胃酸の分泌を抑える薬を投与すると、症状が改善するケースもあります。

逆流性食道炎の症状 痰が出る?

逆流性食道炎の症状として痰が出る場合があります。

「痰」とは、気管や気管支(まとめて「気道」と言います)からの、分泌物(粘液)が口の中に排出されたものを指します。逆流性食道炎でみられる痰は、気道から排出された本物の痰である場合と、痰以外の液体(胃の内容物や唾液)である場合の2通りがあります。

気道から排出される痰が増える原因としては、胃酸の逆流による気管・気管支の炎症が挙げられます。微量の胃酸が、日常的に逆流して気道に入ると、胃酸が気管・気管支の粘膜を障害して、炎症を起こします。気道に炎症が起こると、炎症が起こっている粘膜を修復したり、保護する目的で、気道の粘膜からの分泌物(粘液)が増え、これが気道の外に排出されると痰になるのです。

上記のほか、自分では「痰が増えた」と思っていても実は痰ではない場合があります。逆流性食道炎では、胃酸を含む胃の内容物が口に上がってくることが多く、上がってきた胃液を「痰」と思っている場合や、口に逆流してきた胃液によって唾液の分泌が多くなることから、多量の唾液を「痰」と勘違いしている方もいらっしゃいます。

いずれにしても、胸やけや食べた物が上がってくるなどの症状に加えて、痰が増えたように感じる場合、逆流性食道炎の可能性が高く、消化器内科で検査や治療を受けられることをお勧めします。

逆流性食道炎の症状 口臭に特徴?

逆流性食道炎では、特徴的な口臭がみられる場合があります。

逆流性食道炎では、胃酸などを含む胃の内容物が逆流するため、胃からの臭いが、直接口臭になって感じ取れる場合があるのです。逆流性食道炎が原因で起こる口臭はツンとした刺激臭である場合が多いようです。

口臭対策というと、歯みがきや舌の掃除など、口の中をきれいにすることが中心となりがちですが、逆流性食道炎が原因で口臭がする場合、臭いが直接胃から上がってくるため、口だけをきれいにしても効果がみられません。

胸やけ、酸っぱいものや苦いものが上がってくるなどの症状とともに、口臭を感じた場合、逆流性食道炎を起こしている可能性が高いと考えられます。その場合、消化器科で検査や治療を受けるようお勧めします。

逆流性食道炎の症状 吐き気が起きる?

逆流性食道炎では吐き気がみられることがあります。 逆流性食道炎では、胃酸が食道の粘膜を傷害して炎症を起こすため、胸やけのほか吐き気が起こることが特徴です。また、逆流性食道炎の方は、消化不良や胃炎などの胃の病気を合併しているケースが多く、胃の不調によって吐き気が起こっているケースもみられます。

逆流性食道炎の吐き気は、朝や食後に多いことが特徴です。夜間の睡眠時や、食後3時間程度は、最も胃酸の逆流が起こりやすい時間帯と考えられており、吐き気も起こりやすくなっています。

逆流性食道炎の吐き気を抑えるためには、消化器科を受診して薬を処方してもらうことに加え、日ごろの生活習慣の改善が非常に重要です。

食事はきまった時間にとり、食後3時間程度は横にならないように気を付けましょう。吐き気がひどい場合、横になる時に上半身を少し起こした状態にすると、症状を軽減できる可能性があります。

また食事内容も大切です。吐き気が強い場合は消化の良い食品をとるように心がけましょう。おかゆや柔らかく煮たうどんなどが良いでしょう。脂肪分やたんぱく質の多い食品、刺激物や生もの、冷たい食品は、胃に刺激を与えて症状を悪くするため避けたほうが良いと考えられます。また、コーヒーやアルコール飲料、喫煙も症状を悪化させるため、吐き気が強い場合は控えるようにしましょう。

逆流性食道炎の症状 喉のつかえやつまりがおきる?

逆流性食道炎ではのどのつかえやつまりが起こる場合があります。

逆流性食道炎の多くのケースでは、「食道裂孔ヘルニア」や「下部食道括約筋」の機能低下によって、胃の内容物が逆流しやすい状態にありますが、上記に加えて、食道そのものの機能低下がみられることがしばしばあります。

食道には「蠕動運動(ぜんどううんどう)」という機能があり、いったん口から飲み込んだ食べ物を下へ下へと送るようにできています。逆流性食道炎の患者さんでは食道の蠕動運動の働きが弱くなっているケースが多く、飲み込んだ食べ物がうまく胃に送れなくなるため、飲み込んだ後の喉のつかえ感やつまった感じが起こると考えられます。

逆流性食道炎の症状 げっぷが出る?

逆流性食道炎では、げっぷの症状がしばしばみられます。

げっぷは、胃の内部で発生したガスや、食物と一緒に飲み込んだ空気が、胃から上がってきて口から排泄されたものです。正常な状態では、食道と胃のつなぎ目の部分はしっかりと閉じられていて、逆流を防ぐ構造になっているため、胃内のガス成分がよほど多量にならない限りげっぷとして出ることはありません。

しかし、逆流性食道炎では胃の内容物と一緒にガスや空気の成分も口に向かって逆流しやすい状態となり、胃内に少量のガス成分がたまっても、すぐにげっぷとして出てしまうため、回数が増えるように感じられることが多いようです。

また、げっぷが出ると同時に、胃酸も逆流するため、逆流性食道炎の症状がますます進行する悪循環になってしまいます。

少しでもげっぷの症状を抑えるためには、食事をよくかんでゆっくりと食べることが重要です。早食いは、思いのほか多量の空気を一緒に飲み込んでしまうため、げっぷの症状が起こりやすくなる原因となります。また、炭酸飲料なども、胃の内部でガスを発生させて、げっぷの症状を悪化させるため、避けたほうが無難でしょう。

逆流性食道炎の症状 嘔吐する?

逆流性食道炎では嘔吐がみられる場合があります。軽症例ではあまりみられませんが、逆流性食道炎を放置して症状が進行すると、次第に逆流する量が多くなり、嘔吐がみられるようになります。

逆流性食道炎による嘔吐は、早朝や食後すぐに見られることが多いのが特徴です。夜間の睡眠時は、胃酸が逆流しやすいため、食道の炎症が進行し、結果として早朝は最も吐き気がしやすい時間帯と言えます。吐き気が強くなると、胃酸を含む胃の内容物を嘔吐する場合があります。早朝の吐き気や嘔吐は胃に食べ物が入っていなくても嘔吐が起こることが特徴です。

また、食後は胃の内部の圧力が上昇するため、胃から食道への逆流を防ぐ食道と胃のつなぎ目の機能が弱くなっている方は、食べた物を一気に吐いてしまう場合があります。食後の嘔吐は吐き気をあまり伴わず、急激に吐いた後すっきりする場合が多いようです。

嘔吐の症状は非常に辛いだけでなく、食事が十分にとれなくなるなど栄養面でも問題が生じる恐れがあります。また、吐いたものが気管に入ると、喘息や肺炎などの呼吸器の病気を起こしたり、最悪の場合は吐物がのどに詰まって窒息する可能性も否定できません。嘔吐の症状がみられる場合、すぐに消化器内科を受診して適切な治療を受けるようにしましょう。

逆流性食道炎の症状 頭痛が起きる?

逆流性食道炎の患者さんで頭痛を訴えるケースがあります。

原因はいくつか考えられますが、逆流性食道炎の発症にはストレスや食生活の乱れ、アルコールやカフェインを含んだ飲料の多飲、姿勢の悪さなどが関与しているため、「逆流性食道炎そのものによって頭痛が起きる」というよりは、良くない生活習慣によって頭痛が起こっていると考えられます。

日常的なストレス状態や、食生活の乱れは、自律神経の機能に不調をきたし、結果として頭痛が起こりやすくなる傾向にあります。また、アルコールやカフェインは、体内に入ると頭痛を起こすきっかけになることが知られていますし、姿勢が悪い方は、背中や肩の筋肉が張って血行が悪くなり、「筋緊張性頭痛」というタイプの頭痛が起こりやすくなります。

以上のように、逆流性食道炎の患者さんは、しばしば頭痛を合併しますが、逆流性食道炎そのものによって頭痛が起こるのではなく、頭痛を起こしやすい生活習慣があると考えられるのです。

逆流性食道炎の症状 胸の痛みが起きる?

逆流性食道炎では胸の痛みを訴える方がよくいらっしゃいます。 口と胃をつなぐ食道は、丁度胸の真ん中を通っており、逆流性食道炎によって、食道の粘膜に炎症が起こると、食道がある胸の真ん中やみぞおちの部分に、痛みや違和感を感じる場合があるのです。

「胸が痛い」ということから、狭心症などの心臓病を心配して病院で検査を受けられる方も多く見受けられます。見分け方としては、痛みに以下のような特徴があります。

狭心症などの場合の胸痛→「胸全体に広がる締め付けられるような感じ」「押されるような不快感」が多く、冷や汗などを伴います。数十秒~数分程度で改善することが多い

逆流性食道炎の場合→「胸の真ん中や背中の痛み」などと表現されることが多く、狭心症にみられる「締め付ける感じ」はほぼありません。数時間以上続くことが多い

しかし、正確な診断を受けるためには、心電図などの検査を行うことが必要になります。自己判断で行動せず、胸の痛みがあった場合は、すぐに病院を受診して検査をうけるようにしましょう。

逆流性食道炎の症状 胃痛・胸やけがする?腹痛がする?みぞおちに異変?

逆流性食道炎では胃痛、胸やけなどの症状がしばしば見られます。

一般に「胃痛」と表現される痛みは、みぞおちの部分の痛みを指す場合が多く、みぞおちには胃と食道のつなぎ目の部分が存在するため、自分では「胃が痛い」と思っていても、実際に内視鏡検査を行うと「逆流性食道炎の症状」と判断される場合があるのです。

また、逆流性食道炎と一緒に胃炎を合併している場合や、消化管全体の動きが悪くなっている患者さんでは、みぞおち以外のお腹全体の鈍痛や不快感を訴える場合があります。

逆流性食道炎の症状 背中やの痛みや腰痛がある?

逆流性食道炎で背中の痛みや腰痛を訴えられる方がいます。

逆流性食道炎では、胃酸の逆流により、食道の粘膜が障害されて炎症が起こります。食道は口と胃をつなぐ管状の臓器で、胸の中を通って胃に繋がっていますが、胸の中でも、背中に近い部分を通過しているため、食道に炎症が起こると、背中の痛みとして感じる場合があるのです。また、背中の痛みと同時に、腰の痛みを感じる場合もあるようです。

逆流性食道炎で、背中や腰の痛みを感じる場合は、食道の炎症が強いと考えられます。つまり、比較的重症の可能性があるため、すぐに病院を受診して、検査や治療を受けることをお勧めします。

逆流性食道炎の症状 便秘・下痢になる?

逆流性食道炎の患者さんの中には、便秘や下痢を訴える方が多くいらっしゃいます。

便秘や下痢の症状は、逆流性食道炎によって、直接便秘や下痢になったというよりも、消化管全体の機能の低下を反映していると考えられます。

逆流性食道炎の発症には、生活習慣が深く関与しており、ストレスや食生活の乱れ、アルコールやカフェインを含んだ飲料の多飲、姿勢の悪さなどが関与していると考えられています。これらの原因は、同時に自律神経の働きを悪くして、消化器全体の調子を崩している可能性があります。

特にストレスは、消化管の動きと関係が深く、ストレスによって便秘や下痢になったり、便秘と下痢を繰り返すなどの症状を起こすことが知られています。また、食生活の乱れやアルコール・カフェインを含んだ飲料の多飲も、腸の働きを悪くする要因の1つです。姿勢が悪い方では、背中や肩の筋肉が固くなり、自律神経の働きが悪くなることが知られています。

自律神経は、内臓の機能の調節を行う重要な神経であり、自律神経のバランスが崩れると腸の動きが悪くなって、便秘や下痢を起こす場合があるのです。

逆流性食道炎では便秘や下痢を起こす患者さんが多くいるわけですが、逆流性食道炎そのものによって便秘や下痢が起こるというよりも、逆流性食道炎を起こしやすい生活習慣が同時に便秘や下痢を起こしていると考えられるのです。

逆流性食道炎の症状 おならに特徴?

逆流性食道炎の患者さんの中に腹部にガスがたまり、腹部の張りや、おならについて訴えられる方がいらっしゃいます。腹部にガスがたまるのは、消化管全体の運動機能が低下していることを示す場合が多く、便秘や下痢といった便通異常を合併する方もいます。

逆流性食道炎の発症には生活習慣が深く関与しており、ストレスや食生活の乱れなどが重要な原因となります。また、ストレスや食生活の乱れは、腸の働きにも大きな影響を及ぼすため、逆流性食道炎の患者さんは、同時に腸の働きにも異常がみられる場合が多いことが分かっています。

腸の働きが低下すると、ガスがたまりやすくなり、腹部の張りやおならの症状に悩まされることになるのです。

逆流性食道炎とともに腹部の張りやおならの症状がある方は、病院での治療とともに、生活習慣の見直しを行うと効果的です。

逆流性食道炎の症状 動悸が起きる?

逆流性食道炎で動悸が起こる場合があります。動悸は、逆流性食道炎に合併した「食道裂孔ヘルニア」による影響が考えられます。

「食道裂孔ヘルニア」とは、本来お腹の中(横隔膜より下)に存在する胃の一部が、何らかの理由で胸の中(横隔膜より上)に飛び出た状態を指します。逆流性食道炎の患者さんの多くが食道裂孔ヘルニアを持っていると言われていて、軽度であれば逆流性食道炎以外の症状はあまり起こりません。しかし、重度の食道裂孔ヘルニアになると、横隔膜の上にとびだした胃が、心臓を圧迫する場合があり、動悸がするケースがあると言われています。

動悸といっても、命に関わる不整脈などを起こす可能性は低いと考えられますが、動悸がするような重度の食道裂孔ヘルニアについては、積極的な治療が勧められます。

逆流性食道炎の症状 痩せる(体重減少)?

逆流性食道炎は、一般的に、肥満症の方に多いとされていますが、逆に体重が減って痩せてしまう方もいます。

逆流性食道炎の原因には様々な要因が複雑にからみあっており、特にストレスが重要だとされています。ストレスが主な要因で、逆流性食道炎を起こしている方は、胃や腸の調子も悪いことが多く、食欲不振や消化不良、便秘、下痢などの消化器症状のほか、睡眠不足なども合併している場合が多いのです。また、逆流性食道炎の症状である胸やけや吐き気が強くて、食事があまりとれないケースもあります。

このようにストレスや逆流性食道炎の症状で、食事があまりとれなくなったり、胃や腸の不調がみられる方は、体重が減少する傾向にあると言えます。

食事がとれない場合は、栄養不良や脱水などの恐れもあります。症状が強い場合、入院して点滴などを行うケースも存在します。

逆流性食道炎の症状 発熱、微熱、めまいが起きる?

逆流性食道炎の方で発熱や微熱、めまいなどの症状を訴える患者さんがいらっしゃいます。

逆流性食道炎と発熱、めまいに、直接の関係はなく、逆流性食道炎だけで、これらの症状が現れることはありません。しかし、逆流性食道炎の発症は、ストレスとの関わりが示唆されています。強いストレスが長い期間かかっていると、次第に身体の機能を調節する「自律神経」という神経のバランスが乱れてしまい、微熱が続いたりめまいを起こす場合があります。

逆流性食道炎と発熱、めまいに直接の関係はありませんが、ストレスがかかった状態が継続した結果として、症状が現れている可能性があるのです。

また、高齢者や喘息がある患者さんの場合、胃の内容物が逆流して気管に入り、肺炎や喘息発作を起こす場合があります。肺炎や喘息発作では、発熱がみられるケースがあります。熱とともに咳などの呼吸器の症状がみられる場合は病院を受診した方が良いと考えられます。

逆流性食道炎の症状 吐血することがある?

逆流性食道炎では、まれに吐血することがあります。吐血は、食道の炎症がひどく、食道の粘膜から出血した場合に起こる可能性があります。逆流性食道炎の炎症は、特に食道の下部に起こりやすく、吐血した場合、炎症の部分からの出血が、胃の内容物に混ざって排出されている可能性が考えられます。

逆流性食道炎で、吐血が起こる場合、重度の炎症があり、早急な治療が必要と考えられます。すぐに消化器内科を受診しましょう。

逆流性食道炎の時、病院では何科に行く?

胸やけや喉のつかえる感じ、酸っぱいものや苦いものが上がってくる感じなどの症状があった場合、逆流性食道炎の可能性があるため、病院で検査や治療を受ける必要があります。

逆流性食道炎を疑って、病院を受診する際は、総合病院では「消化器内科(しょうかきないか)」、一般のクリニックでは「消化器内科」や「胃腸科(いちょうか)」などと表記してある科を受診します。

上部消化管内視鏡検査(いわゆる“胃カメラ”)を希望する場合、病院によって検査を行う曜日や時間が限られている場合があります。また、上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)の前には、決められた時間から飲食をしてはいけないなどの決まりがあります。事前に電話をして、詳細について確認した上で、受診するとスムーズに検査が進みます。

逆流性食道炎の検査 胃カメラを使う?

逆流性食道炎の検査では、一般的に「上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)」を行います。

症状から逆流性食道炎があると判断し、上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)を実施しないまま、内服薬を飲んで効果を見る方法もありますが、逆流性食道炎の炎症の程度(重症度)や他の消化器の病気の有無、食道がんの合併可能性などを判定するために、胃カメラを使います。

逆流性食道炎の炎症がどの程度良くなったか(治療効果の判定)なども含めて、様々なメリットが存在するため、基本的には胃カメラの実施が一般的です。

胃カメラ以外にも、一部の病院で、はより詳しく逆流の状態を調べるために「24時間食道内多チャンネルインピーダンス・pH測定検査」という検査を行う場合があります。これは2mmkから3 mm程の細い管を、鼻から胃まで挿入して、24時間逆流の状態をコンピュータに記録する検査です。また、検査中は胸やけや胸痛、逆流感などを感じたときなどに、器械のボタンを押して、記録をつけていきます。

この測定検査で、「胃酸が実際にどの程度逆流しているか」「逆流しやすい時間帯や時間の長さ」「胃酸のほかにガスや胆汁など他の成分が逆流しているか」など、多くの情報が得られます。

逆流性食道炎の治療期間の目安

逆流性食道炎の治療期間は個人差が大きいです。数週間で症状が消える方もいれば、長年にわたって薬の内服を継続する方もいらっしゃいます。理由として、逆流性食道炎の発症に様々な要因が関わっていて、生活習慣なども問題になるためです。

例えば、肥満や姿勢の悪さなどが原因の場合、これらの要因を解消することで、逆流性食道炎の症状がなくなる事があります。また、食事の時間が不規則だったり、脂肪分やたんぱく質の多い食品、刺激物、アルコールやカフェインを含んだ飲料の多飲などの原因がある方では、悪い習慣の改善程度によって、治療期間が変わります。

肥満や生活習慣の改善をスムーズに行うことができる場合は、治療期間も短くなる傾向にあると言えるでしょう。

逆流性食道炎の治療においては、「薬の使用」と「生活習慣の改善」は同じくらい重要です。生活習慣の改善を全くせずに、薬の内服だけを行うと、効果が限定的であったり、薬の内服をやめるとすぐに症状が再発するなど、治療期間が長引く可能性があるのです。

逆流性食道炎の処方薬の作用機序、効果、副作用

逆流性食道炎の治療では以下のような薬が一般的に使用されます。


【プロトンポンプ阻害薬】


現在、逆流性食道炎に対して最も治療効果が高いと考えられています。逆流性食道炎の主な原因である胃酸の分泌を抑制し、食道への逆流を抑えます。

1日1回の内服で、効果が長く続きますが、原則として、8週間を超える長期投与はできません。

現在日本で使用される主なプロトンポンプ阻害薬は「ランソプラゾール(商品名タケプロン)」「ラベプラゾール(商品名:パリエット)」「エソメプラゾール(商品名:ネキシウム)」などがあります。

比較的副作用が少ない薬ですが、まれに肝機能異常や下痢などが起こる可能性があります。


【ヒスタミン受容体(H2)ブロッカー】


胃酸を分泌させる「ヒスタミン」という物質の作用を抑え、胃酸の分泌を抑制します。プロトンポンプ阻害薬と比較すると、胃酸の分泌を抑える効果はやや弱いのです。ただ、効果が出るまでの時間が短い「即効性」という特徴を持ちます。また、夜間の胃酸過多によく効くとされており、症状によってプロトンポンプ阻害薬と使い分けることがあります。投与の制限がないため、長期間の内服が可能という特徴もあります。

現在日本で使用される主なH2ブロッカーには「ファモチジン(商品名:ガスター)」があります。

副作用は少ない薬ですが、まれに肝機能異常や便秘が起こる場合があります。また、腎臓が悪い方や高齢者の場合、混乱や無気力、認知症のような症状が現れる場合があることが報告されています。


【消化管運動改善薬】


消化管の運動機能を改善するお薬です。

逆流性食道炎では、食べ物を口から胃に送る食道の働き(蠕動:ぜんどう)が弱くなっている場合が多いほか、胃の働きが弱っていて、胃に長時間食べ物が入っているため、逆流しやすい場合があります。また、便秘やガスがたまるなど消化管の働きが弱くなっている際の症状を合併しているケースに使用されます。

現在、日本で使用される主な消化管運動改善薬には「モサプリド(商品名:ガスモチン)」があります。

副作用は少ない薬ですが、まれに腹痛や下痢が起こる場合があります。


【粘膜保護剤】


食道の粘膜を胃酸の刺激から保護したり、障害された食道粘膜を修復する働きがあるお薬です。

現在、日本で使用される主な粘膜保護剤には「キャベジンU」や「レバミピド(商品名:ムコスタ)」などがあります。「キャベジンU」は、“メタケイ酸アルミン酸マグネシウム”や、“沈降炭酸カルシウム”、“メチルメチオニンスルホニウムクロライド”などよ呼ばれる多数の成分を含み、胃や食道の粘膜を保護するほか、胃酸を中和して、食道への刺激を少なくする効果を持っています。

副作用は比較的少ない薬ですが、腎臓の悪い方や高齢者の方では、血液中のカルシウムやマグネシウムの量に変化を生じて、体調不良を起こす可能性が指摘されています。

逆流性食道炎の市販薬の作用機序、効果、副作用

市販薬の中には、病院で処方される「ヒスタミン受容体(H2)ブロッカー」と同じ系統の薬が存在します。

代表的なお薬は第一三共ヘルスケア株式会社の「ガスター10」という薬です。ガスター10は胃酸の分泌を抑制する薬で、逆流性食道炎の症状を改善する効果があります。

副作用は少ない薬ですが、まれに肝機能異常や便秘が起こる場合があります。また、腎臓が悪い方や高齢者では混乱や無気力、認知症のような症状が現れる場合があることが報告されているため、使用には注意が必要です。

その他、市販薬では「胃炎」に効果があるとされる薬が、逆流性食道炎にも効く可能性があります。ただ、市販薬は、病院で処方される薬よりも効果が弱い場合が多いです。しばらく市販薬を使っても効果がみられない場合は、病院で検査や治療を受けた方が良いでしょう。

逆流性食道炎に効く漢方薬はある?どんなもの?

逆流性食道炎の治療には漢方薬が効果を示す場合があります。

西洋医学では、逆流性食道炎は、食道や胃の運動機能の低下や胃酸の分泌過多などを原因としてとらえ、原因や症状を改善する薬を使用して治療します。

対して、漢方の場合は胃酸などの逆流を、「気」が逆流している「気逆(きぎゃく)」という状態ととらえます。逆流性食道炎の場合、「気の流れを整える」とされる薬を使用します。

具体的には、「六君子湯(りっくんしとう)」「半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)」「黄連解毒湯(おうれんげどくとう)」などがあります。

六君子湯は、胃の動きが悪く、消化不良を伴う場合によく処方されます。

半夏厚朴湯は、のどのつかえが強い場合によく合います。

黄連解毒湯は、ストレスが強く、胃炎があったり、よく水を飲みたくなる場合に合うと言われています。

漢方薬は、たくさん種類があり、上記の3つはほんの一例です。漢方薬は一人ひとりの体質に合わせて処方が異なるため、同じ逆流性食道炎でも違う薬が処方されることが普通です。

体質に合わない薬を内服すると、効果がないばかりか、かえって症状が悪くなったり、副作用に苦しむ場合もあります。自分の体質に合った薬を選ぶためには、自己判断で適当な漢方薬を購入するのではなく、可能な限り、漢方の専門医を受診して、きちんと体質の診断を受けるようにすると良いでしょう。

逆流性食道炎で手術することがある?どんな場合に手術?どんな手術?

逆流性食道炎では、手術を行う場合があります。

逆流性食道炎で行われる手術は「食道裂孔ヘルニア」を治す手術です。「食道裂孔ヘルニア」とは、本来お腹の中(横隔膜より下)に存在する胃の一部が何らかの理由で胸の中(横隔膜より上)にとび出た状態を指します。

食道裂孔ヘルニアの手術は、胃を横隔膜の下の正しい位置に戻し、横隔膜の上に上がってこないように固定する手術です。胃や食道を切ることはなく、胃が小さくなってしまうこともありません。

逆流性食道炎で手術を勧められるケースとしては、下記のようなものがあります。

(1)飲み薬(プロトンポンプ阻害薬)の効果がない
(2)若い年齢で発症し、長期間にわたって薬を内服しなければならない
(3)逆流によって肺炎などの強い症状がある
(4)仕事やアレルギーなど何らかの理由で内服が続けられない

逆流性食道炎に対する手術は、現在、「腹腔鏡(ふくくうきょう))というカメラを使用した手術が多くなり、以前のように大きくお腹を切る必要がなくなってきました。身体への負担も少なく、退院までの期間も短くなる傾向にあります。

逆流性食道炎で入院することがある?どれくらいの期間?

逆流性食道炎において、まれに入院が必要になる場合があります。入院治療が必要になる要因としては、「食道の炎症が強く出血を伴う場合」「逆流した胃の内容物が肺に入って肺炎を起こしたり、重い喘息の発作を起こした場合」などが考えられます。

また、逆流性食道炎に対して手術を行う場合も当然入院が必要です。

入院期間は個人差があります。一般的には、出血や嘔吐などの逆流性食道炎の症状が落ち着くまでには1週間程度、肺炎や喘息の治療は、重症度によりますが10日間から2週間程度、手術を行った場合は1週間程度の入院が必要な場合が多いようです。

逆流性食道炎への生活上の対処法① 良い食事と悪い食事はどんなもの?ヨーグルト、ガム、梅干しが効く?断食は効果あり?

逆流性食道炎に良い食事とは、「消化が良く、胃に刺激を与えにくい食事」です。症状が強い場合は、おかゆや柔らかく煮たうどんなどが良いでしょう。脂肪分やたんぱく質は少ないほうが良いため、白身魚や鳥胸肉、ささみなどを少量ずつ食べましょう。豆腐や納豆、バナナなども消化に負担がかかりにくいとされています。調理法は煮る、焼く、蒸すなどさっぱりしたものが良いと考えられます。

また、一度にたくさん食べすぎたり、早食いだと、消化の良い食事でも逆流が起こりやすくなるため、よく噛んでゆっくりと食事をとり、腹8分目を心がけるようにしましょう。毎日決まった時間に食事をとることも大切です。

逆流性食道炎に悪い食事は上記の逆です。脂肪分やたんぱく質が多い食品は消化しにくく、胃に長時間滞留するため、逆流を起こしやすくなってしまいます。また辛い物やすっぱいものは、胃に刺激を与えて、胃酸の分泌を促進するため避けたほうが良いでしょう。

ヨーグルトや梅干しは、酸味が強く、逆流性食道炎の症状を悪化させる可能性が高いため避けたほうが良い食品です。チョコレートやアイスクリーム、あんこの入った菓子などは、脂肪分が多いことや冷たすぎること、消化に悪いことなどから、逆流性食道炎の症状を悪化させるため避けた方が良いでしょう。

ただ、ガムはかむことで、唾液が分泌されて結果として飲み込むことで、胃酸の逆流を抑える働きがあるため、症状を改善する可能性があります。

逆流性食道炎の症状を改善する方法として断食が挙げられる場合がありますが、効果には個人差が大きく、また脱水や栄養不良などのリスクも伴います。結論からいうと、安易な断食はお勧めできません。どうしても断食を試してみたい方は、主治医の先生によく相談してから行うようにしましょう。

逆流性食道炎への生活上の対処法② 良い飲み物と悪い飲み物はどんなもの?牛乳、コーヒー、アルコール、炭酸水、ただの水は?

逆流性食道炎の場合に水分をよくとる事は大切ですが、飲み物の種類によっては、症状に影響を与える場合があります。

避けたほうが良い飲み物は、コーヒー、緑茶、紅茶などのカフェインを多く含む飲料やアルコールです。これらの飲料は、胃酸の分泌を刺激して、症状を悪化させる可能性があります。炭酸飲料も症状を悪化させるため避けた方が良いでしょう。

牛乳は、逆流性食道炎の症状を改善する可能性がありますが、体質によってはお腹を壊して下痢になる場合もあり、注意が必要です。

逆流性食道炎の場合に最も負担が少ないのは「ただの水」です。冷たすぎたり、熱すぎると、消化器に負担をかけるため、常温の水やぬるめの白湯(さゆ)を飲むようにすると良いでしょう。

逆流性食道炎への生活上の対処法③ 運動に効果?ダメ?腹筋が効く?

逆流性食道炎の改善には、適度な運動が効果的であると考えられています。軽い運動をすることで、消化器のはたらきが良くなるほか、逆流性食道炎と深い関わりがあるストレスを緩和したり、自律神経のバランスを整える効果も指摘されています。

また、運動を継続することで、肥満が解消され、逆流性食道炎が治ってしまう方もいらっしゃいます。

逆流性食道炎の場合、少し息が上がって、身体が温まる程度の全身運動が良いとされています。具体的には1時間程度のウォーキングやジョギング、ストレッチなどを継続的に行うことが推奨されています。

また、逆流性食道炎の症状が強い場合、腹筋運動を行うと、腹部に強い圧がかかり、逆流の症状を一時的に悪化させてしまう可能性があるため、避けた方が良いでしょう。

逆流性食道炎への生活上の対処法④ タバコはダメ?少しなら良い?

逆流性食道炎と深い関わりがあるのがタバコです。喫煙は、逆流性食道炎の症状を悪化させる可能性があるため、避けた方が良い習慣の一つです。

タバコが逆流性食道炎に影響する理由は、吸い込んだタバコの煙が、胃を刺激して胃酸の分泌を促進する可能性や、タバコを吸うと唾液の分泌が少なくなることから、逆流した胃酸を中和することができなくなるために症状が悪化する可能性が示唆されています。

また、タバコを吸うと、吐き気を誘発する場合もあるため、症状が重い場合は、少ない本数でも吸わない方が良いと考えられます。

逆流性食道炎への生活上の対処法⑤ 寝方がポイント?枕にも良し悪しがある?

逆流性食道炎の方は、夜間眠っている間に、胃酸の逆流が起こりやすくなることが知られています。夜間に胃酸の逆流が起こってしまうと、眠っている間に食道の炎症が進み、朝起きた時の胸やけや吐き気が強くなります。そのため、夜間の逆流をできるだけ防ぐような寝方が重要になります。具体的には、背中にタオルを入れるなどして上半身を少しだけ高くして眠ると効果的とされています。

また、胃に内容物が入ったまま横になると、逆流が起こりやすくなるため、胃に食べ物が入っていない状態で寝たり、胃の内容物をできるだけスムーズに腸に移動させることができると、逆流のリスクは低下します。可能ならば、寝る2時間以上前に食事を済ませましょう。

胃に物が入っている状態で寝る場合は、胃の内容物をできるだけスムーズに腸に移動させる姿勢が大切です。胃の内容物を腸に流れやすくする姿勢としては、右側を下にして寝ることです。胃の出口は右下の方に存在するため、右側を下にして寝ると、胃の内容物がスムーズに腸に流れるため、逆流のリスクを低下させることができるのです。

眠っている間は意識がないため、眠りはじめは右側を下にしていても、寝返りをうって自然に姿勢が変わってしまうこともよくあります。この場合、枕を工夫することで、姿勢の変化を防ぐことが可能な場合があります。横向きになって寝る時に良い枕は、仰向けに寝る時に使用する枕よりも若干厚みがあり、高さが必要な場合が多いと言われています。すぐに仰向けになってしまうという方は、普段よりも少し高さがある枕を使用することで、右側を下にした姿勢を長く続けることができる可能性がありますので、検討してみてはいかがでしょうか。

その他の逆流性食道炎への生活上の対処法

逆流性食道炎の発症にはストレスが深く関係しています。日頃からストレスを解消するように気を付けることが症状の改善につながります。

また、姿勢も重要です。背中が丸くなって、前かがみの姿勢になる猫背の方や、仕事などで長時間前かがみの姿勢をとる方は、腹部に圧がかかるため、逆流性食道炎の症状が起こりやすくなることが知られています。現代の日本では、長時間のデスクワークを行う方が増え、姿勢が悪くなったり、背中や肩の筋肉が張って、自律神経のバランスが乱れることで、消化器に不調をきたし、消化不良や逆流性食道炎の症状を起こす方が増えています。休憩時間などに軽くストレッチを行ったり、椅子や作業環境を工夫することで正しい姿勢を保てるように気を付けることも、大変重要です。

妊婦の逆流性食道炎になりやすい?

妊婦さんには、とくに逆流性食道炎が起こりやすいことが知られています。

お腹の赤ちゃんが大きくなってくると、腹部の臓器が圧迫されるため、胃が上の方にせりあがってきます。胃が上の方に圧迫されると、食べたものが逆流しやすくなり逆流性食道炎を起こしてしまう場合があるのです。

また、妊娠中はホルモンのバランスが大きく変化します。妊娠中に多くなるホルモンは消化管の動きを抑え、胃酸の分泌を促進する働きがあります。結果として、消化不良や胃もたれ、吐き気、逆流性食道炎などの症状が起こりやすくなるとされています。

逆流性食道炎とわりとの見分け方

逆流性食道炎の症状の代表的なものは胸やけ、吐き気、酸っぱいものや苦いものが上がってくる感じなどですが、つわりでも同様の症状がみられる場合があります。

つわりと逆流性食道炎の症状の違いについてですが、逆流性食道炎の場合、症状が食後や早朝の時間帯に多いことが特徴的です。対して、つわりは空腹時にとくに吐き気が強くなったり、または一日中同じ症状が続く場合が多いようです。

また、つわりの症状は、妊娠の前半に多く、ピークは妊娠9週ごろから12週ごろと言われています。逆流性食道炎の場合、お腹が大きくなってくる妊娠の後半に症状が悪化する場合が多いようです。

妊娠中に、食後の吐き気や胸やけがある場合、まずかかりつけの産科の医師に相談し、必要があれば消化器内科の医師に紹介状を書いてもらいましょう。

逆流性食道炎に使用される薬の中には、お腹の赤ちゃんに影響がある薬が含まれる可能性があるため、薬局などで自己判断で、薬を購入して、使用することは避けた方が安全です。必ず医師に処方されたお薬を内服するようにしましょう。

子供の逆流性食道炎の特徴は?

逆流性食道炎は、主に大人の病気というイメージをお持ちの方が多いのですが、実は赤ちゃんや子供にも起こる場合があります。

子供の逆流性食道炎の原因は大人と少し違いがあります。赤ちゃんや幼児の場合、まだ胃から食道に胃の内容物が逆流しないようにする食道の機能の発達が未成熟であるために起こり、成長とともに次第に症状は改善する場合が多いようです。小学生から10代の若者の逆流性食道炎は肥満の方に多いとされています。

子供の逆流性食道炎の治療の基本は生活習慣の改善です。赤ちゃんや幼児で嘔吐が多い場合、一度にたくさんミルクや食べ物を胃に入れないよう、少量ずつ回数を多くして与えるようにします。また、食事や哺乳の後にすぐに寝かせると吐いてしまうリスクが上昇するため、食後少なくとも1時間程度は座った状態や縦に抱っこした状態を保つようにします。

小学生から10代の若者で肥満が逆流性食道炎の原因となっている場合は食事や運動の習慣を改善し、肥満の解消につとめます。

生活習慣の改善を行っても嘔吐や胸やけなどの症状が改善しない場合、大人と同じように胃酸の分泌を抑える薬を処方される場合もあります。ただ、子供のうちから長年にわたって胃酸の分泌を抑える薬を使用することには異論もあり、あまり積極的には勧められません。

お子さんで嘔吐や胸やけなどの症状が多い場合、逆流性食道炎の可能性がありますが、他の病気が隠れている可能性も否定できません。まずは、小児科を受診し、医師の診察や検査を受けることをお勧めします。


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