肝硬変の原因、症状、治療、予防 肝臓癌になる?酒以外も影響?初期症状や末期症状はどんなもの?

  • 作成:2016/10/17

肝硬変とは、文字通り、なんらかの影響で、「肝臓が硬く変化する」ことです。肝臓は重要な器官ですので、さまざまな影響が出るほか、肝臓がんにつながることも知られています。原因、症状、治療以外にも、さまざまな疑問を含めて、医師監修記事で、わかりやすく解説します。

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肝硬変はアルコール以外でも起きる?

目次

肝硬変とは?概要

肝臓の細胞は、何らかの原因によって炎症が長期間にわたって続くと、肝臓の内部構造が徐々に変化していきます。肝細胞の大きな変化としては、肝臓が硬く小さくなる繊維化を起こすこと、血管構造が破壊されることなどが挙げられます。

肝硬変の原因にはC型肝炎ウイルスに代表されるウイルス性(肝硬変の原因として最多)、アルコールによるもの、薬剤によるものなど多岐にわたりますが、慢性的に肝臓が障害を受けた終末像になります。肝硬変になると肝機能は著しく低下し、また、肝臓内の血管構造も破綻するため、「門脈圧亢進症」と言われるような病態となります。

肝硬変は、以下の2つに大別されます。

代償性肝硬変→自覚症状のほとんどない状態
非代償性肝硬変→肝不全に至って肝臓の機能を維持できない状態

非代償性肝硬変に至ってしまうと、意識障害を伴う「肝性脳症」や、皮膚が黄色くなる「黄疸」、お腹に水が溜まってしまう「腹水」、消化管からの出血、腎不全などさまざまな症状を呈してきます。肝硬変に至ってしまうと基本的に元の状態に戻ることはなく不可逆的なため、消化管出血などの合併症予防と、進行の抑制が治療の基本となります。そのため根治的な治療法は肝移植となります。

また、肝硬変は経過中に、肝臓がんを合併することが知られており、肝硬変患者の死亡原因としても重要です。

したがって、肝硬変では残存した肝機能をできるだけ維持することが大切であり、日常生活での注意点を守ることや、肝臓がんの定期的な検診が大切となります。

肝硬変の原因 アルコール?他にも?

肝硬変の原因は、以下のように多岐にわたります。

・ウイルス性→B型肝炎、C型肝炎など
・アルコール性肝障害
・非アルコール性脂肪肝
・自己免疫性→体に入った菌などと戦う機能である免疫に問題があるもの。機能自己免疫性肝炎、原発性胆汁性肝硬変
・代謝性→エネルギーを作り出したりする働きである「代謝」に問題がおきるもの。ヘモクロマトーシス、ウィルソン病

この中で、肝硬変の原因として、大半を占めるのが肝炎ウイルスの感染によるもので、特にC型肝炎ウイルス(HCV)によるものがおよそ60%を占めています。日本ではC型肝炎患者は症状のない方も含めると150万人から200万人いると推定されています。このすべての人が肝硬変に至るわけではありませんが、C型肝炎は無症状や軽い症状のこともあり、徐々に進行していくと10年から30年という長い経過で、3割から4割ほどの人が、肝硬変に移行すると言われています。さらに最終的には肝がんを発症することもあり、生命にかかわる病態となります。

また、アルコールの大量飲酒(1日に日本酒換算で3合以上)は、C型肝炎ウイルスに比べて早い経過で肝硬変に至る原因となります。

一方で、近年注目されつつあるのがアルコールを飲まないにも関わらず脂肪肝から肝炎を発症し、将来的に肝硬変・肝がんへと進行してしまう非アルコール性脂肪肝、「NASH(ナッシュ)」と呼ばれているものです。「NASH」は、肥満やメタボリックシンドロームとの関連が強く、有病率は成人の3%から5%程度と推定されています。現在、肝硬変の原因としてはC型肝炎が最多ですが、インターフェロンを用いた治療の進歩によって、肝硬変や肝がんへの進行を抑制することも十分可能となっています。今後は生活習慣病としてのNASHが将来的に重要な社会問題となることも考えられます。

肝硬変になる年齢 20代でもありえる?

一般的に肝硬変の好発年齢は50歳代から60歳代であり、男女比は7:3で、男性に多いと言われています。

肝硬変はウイルス性やアルコール性など原因はさまざまですが、慢性的に肝障害が起こった終末像ですので、肝硬変に至るには通常な数十年単位の長い時間を要します。そのことからも肝硬変に至るピークが50歳代から60歳代であることも理解できるかと思います。

日本における肝硬変の原因はウイルス性が多く、特にC型肝炎ウイルスが全体の60%程度を占めています。C型肝炎を例にとってみても、ウイルスに感染後徐々に肝臓が障害を受け、平均して10年から30年で肝硬変に移行すると言われています。C型肝炎ウイルスの抗体陽性率を見ても、20歳代で0.2%と少なく、年齢を重ねるごとに陽性率は増加し、60歳代で3.4%となっています。

肝硬変の分類、ステージ 「末期」の定義は?非代償期?代償期とは?

肝硬変の重症度を判定する指標には、「Child-Pugh 分類(チャイルド ピュー分類)」と言うものが存在します。詳しく話すと、専門的な内容になってしまいますが、肝臓で生成されている「アルブミン」や「ビリルビン」、血液凝固に関わる「プロトロンビン時間(PT秒・%)」、腹水や肝性脳症といった合併症の有無を1点から3点にスコア化して肝障害の程度を評価します。指標によってGrade AからGrade Cに分けられ、Grade A(5~6点)が比較的軽症なもの、Grade C(10点以上)が最も重症なものとなります。

また、肝硬変は肝機能の点から「代償期」と「非代償期」という分け方もあります。

代償期では、肝機能は比較的よく保たれており、自覚症状があまり出ないこともあります。特に肝臓は病気がかなり進行しないと症状が現れないこともあり、肝臓が、沈黙の臓器とも表現される理由です。代償期の肝硬変はChild-Pugh 分類でGrade Aに相当します。

一方で、非代償期の肝硬変はChild-Pugh 分類でGrade BあるいはCに相当し、肝機能が低下しています。結果として、むくみ(浮腫)、腹水による腹部膨満、黄疸、肝性脳症など肝硬変に特徴的な症状が見られてきます。したがって、Child-Pugh 分類で10点以上のGrade Cでは、末期の肝硬変と診断されます。Grade Cになると、肝不全症状だけでなく、肝硬変の死因である肝がん、消化管出血、肝不全のリスクも増加してきます。

肝硬変の余命(寿命への影響)、死亡率 「腹水」や「末期」では余命短い?

現在では肝硬変に至る最大の原因とされるC型肝炎ウイルスは90%以上で除去でき、十分治療可能な病気へとなってきました。そのため今後、肝硬変患者の予後を左右するのは、肝硬変の三大死因である肝不全、消化管出血、肝がんといった合併症であると言えます。

肝硬変になるとウイルス性やアルコール性などの原因を問わず、最終的に肝がんを合併する可能性が増し、当然予後も悪くなってきます。したがって、肝硬変になる前に早期に治療を開始するとともに、肝硬変になってしまったら、合併症の予防が予後を決める上で重要になってきます。

また、肝性脳症や黄疸、浮腫、腹水などの症状を呈する「非代償期肝硬変(肝臓の機能が低下した状態)」では、「代償期肝硬変」に比べて予後は悪くなってきます。さらに肥満や糖尿病、低栄養などの生活習慣も肝硬変の予後を悪化させる重要な要素となります。

肝硬変の重症度を表わす分類としてChild-Pugh 分類が存在します。Child-Pugh 分類は肝臓の状態を評価する5項目からスコア化し、5点から6点がGrade A、7点から9点がGrade B、10点以上がGrade Cとなります。Child-Pugh 分類は予後の予測にも使用されており、3年生存率はGrade Aでおよそ90%、Grade Bでおよそ70%、Grade Cでおよそ40%と報告されています。

肝硬変は治る?完治する?肝臓は元に戻らない?代償期なら戻る?

肝炎ウイルスやアルコールなどの原因によって起こる肝硬変ですが、以前は不治の病とされていました。しかし、現在では、「完全に治る」という表現が正しいとは言えないまでも、機能的に改善に持ち込むことのできる病気へと変化してきました。 C型肝炎による肝硬変を例にとってみると、インターフェロン治療の導入によって「代償期肝硬変」であれば、慢性肝炎の状態よりは治療成績で劣りますが、肝硬変が改善し、肝がんの発生も抑制することができるようになりました。ただし、これは肝臓の機能が正常あるいは正常に近い値に改善したという意味であり、肝臓そのものの変化してしまった構造は、完全に治るというわけではありません。

したがって、肝硬変治療の進歩によって代償期肝硬変の肝機能を正常に近いところまで改善させることは可能になりつつあり、その意味で治ると言えます。しかし、一度肝硬変まで進行してしまうと、ウイルスが消えても肝がんの発生には十分注意が必要であり、定期的な経過観察が必要であると言えます。

肝硬変の初期症状、自覚症状はある?

肝硬変の初期は、ほとんど気づかれることはなく、ほとんど症状はありません。理由としては、肝臓に代償能力が備わっており、肝臓に障害が起こったとしてもその機能をカバーできるだけの力があるためです。そのため、肝臓は「沈黙の臓器」とも表現されており、かなり進行してからでないと症状として現れないのが実際のところです。

初期症状として、足がつりやすかったり(こむら返り)、手の平が赤みを帯びる、胸や肩にクモ状血管腫と呼ばれるクモの足のような赤い斑紋が出現することがあります。ただ、これらの症状は非代償期に見られ気付かれないこともあります。また、疲れやすいなどの全身症状も進行してから出現してくることが多く、症状からの早期発見は難しいところです。

症状からの早期発見が難しい以上、早期発見には、検診等で定期的に血液検査や画像検査を行っていくことが重要であると言えます。

肝硬変で腹痛などの痛みが起きる?なぜ?

肝硬変患者の方で、腹痛や吐き気など消化器症状を呈する場合もあります。特に、右わき腹(「右季肋部、きろくぶ」)は肝臓のある位置であり、右季肋部痛は肝硬変患者の半数以上が経験するとも言われています。

また、非代償期肝硬変の患者の方が、腹痛や発熱を伴う場合には、「特発性細菌性腹膜炎」という合併症も考えられます。「特発性細菌性腹膜炎」は腹水の溜まった肝硬変患者に好発する腹膜炎であり、腸管から大腸菌などが腹水に侵入することで発症すると言われています。特発性細菌性腹膜炎は、腹水検査を行い、抗菌薬による治療を行っていきます。

肝硬変で発熱が起きる?なぜ?

肝硬変によって、発熱や倦怠感が出現する理由についてはいくつか原因が考えられます。

一般的には、肝炎によって肝細胞の破壊や壊死による慢性的な炎症が続くことで、発熱や倦怠感といった全身症状が見られると考えられます。

また、肝硬変患者では免疫力が低下しているため、さまざまな感染症にもかかりやすくなっています。特に非代償期肝硬変で腹水を伴っている患者さんの場合、「特発性細菌性腹膜炎」という感染症にも注意が必要です。特発性細菌性腹膜炎は、腸の中にもともと常在する細菌が腹水に移行して引き起こす感染症です。放置すると敗血症や腎不全を引き起こして致命的となることもあります。肝硬変では、さまざまな感染症にもかかりやすく、それが原因で発熱が見られる場合もあります。

肝硬変でかゆみが起きる?なぜ?

肝臓の機能低下によって、代謝されるさまざまな物質が過剰に蓄積したり、不足すると、皮膚症状が見られてきます。肝臓の病気によって起こる皮膚症状としては、黄疸や色素沈着、クモ状血管腫などが知られていますが、皮膚掻痒感(かゆみ)もその1つです。

肝臓の病気で皮膚のかゆみが出現する原因についてはいくつか考えられていますが、代表的なものに「ビリルビン」という物質の皮膚への沈着、胆汁酸や壊れた「肝細胞膜」から痒みを誘発する物質が出るといった原因が挙げられます。

肝臓の病気が関係する痒みの特徴として、痒みの部位は手足や胴体が多く、首や陰部はあまり見られません。また、眼の白目の部分や、皮膚が黄色くなる黄疸に先立って、身体の痒みが出現することが多いです。特に、「原発性胆汁性肝硬変」という病気では、黄疸に先立って数年前に痒みが出現することが多く、病気を見つけるきっかけともなります。

痒みを抑えるには、痒みの原因を取り除くことと掻かないことが大切になりますが、肝硬変に関連した痒みでは、通常皮膚のかゆみに用いられる「抗ヒスタミン薬」が効きにくい場合が多いです。そのため、肝硬変に関連した痒みに有効とされている高コレステロール血症に使用される薬や、「ナルフラフィン」という薬剤が用いられることがあります。また、痒みに対してはスキンケアも重要であると言われており、保湿剤で乾燥を防ぐことも有効とされています。

肝硬変で便秘や下痢が起きる?なぜ?

肝硬変の患者さんで注意したいのが、便秘です。便秘は、腹水によって周囲の腸管が圧迫されて腸管の動きが悪くなったりすることで生じますが、便秘は肝性脳症の原因となります。

便秘になると、腸の中ではアンモニアを発生させる腸内細菌が増加してしまいます。また、アンモニアは食物中の蛋白質が、腸管内で分解されて産生されます。それゆえ、便秘になるとアンモニアを作る細菌の元となる蛋白質が増加した状況となるため、アンモニアによって意識障害などをきたす肝性脳症を発症しやすくしてしまうのです。

したがって、肝性脳症を予防する目的で、蛋白質の摂取を制限するとともに、食物繊維を多く摂取して、便秘にならないようにすることが大切です。

肝硬変で貧血が起きる?なぜ?

慢性肝炎や肝硬変では貧血を伴うことがあります。

肝硬変における貧血の原因にはいくつか考えられますが、1つに脾臓(ひぞう)の機能亢進(高ぶること)があります。脾臓にはもともと老朽化した赤血球を壊す働きがあります。肝硬変によって、門脈圧が高くなると、脾臓へ流れる血流が、代わりに増加し、脾臓の機能は亢進します。その結果、赤血球や白血球、血小板の破壊が進み、貧血の症状を呈します。赤血球の破壊亢進による貧血を特に「溶血性貧血」と呼んでいます。

また、肝硬変では、ビタミンB12や葉酸を貯蔵する機能も低下してしまいます。ビタミンB12や葉酸はDNAの合成に必要な物質であり、これらが欠乏すると、巨大な赤血球ができ、機能を持たない無効な血の成分が作られてしまいます。これを「巨赤芽球性貧血」と呼んでいます。特に、ビタミンの欠乏はアルコールの多飲者などでも多く見られます。

貧血のもう1つの原因として考えられるのが、「消化管出血」です。肝硬変の非代償期(もとにもどらなくなっている状態)になると、食道・胃静脈瘤の破裂、血小板の減少などによって出血傾向となり、慢性的な貧血を引き起こす可能性もあります。

肝硬変で低ナトリウムが起きる?なぜ?

低ナトリウム血症は、肝硬変の非代償期に見られる電解質異常として知られており、肝硬変の予後不良因子にもなります。少し専門的ではありますが、なぜ肝硬変で低ナトリウム血症が生じるのでしょうか。

肝臓で産生される「アルブミン」と言う蛋白質の減少によって、血管内の水分が血管外に出てしまいます。そうすると、血管内では水分が減り、「血管内脱水」と呼ばれる状態になります。身体には常にバランスを保とうという働きがあるため、何とかして血管内に水を引き込もうという反応が起こります。

水を引き込む反応には、大きく2つの機序があり、1つ目は「アルドステロン」というホルモンによるナトリウムの再吸収です。アルドステロンは、腎臓でろ過されたナトリウムを再吸収する作用があります。ナトリウムも、また浸透圧によって水分を引き付ける作用があるため、血中のナトリウム濃度が上昇することで、血管内に水分が入ってくるというわけです。しかし、この反応だけを見ると、ナトリウムが増加するわけですから、「低ナトリウム」ではなくて、「高ナトリウム」になるのではないかという疑問が生じます。

鍵となるのは、2つ目の反応である「バソプレシン」というホルモンによる水の再吸収があります。バソプレシンは、「抗利尿ホルモン」とも呼ばれており、腎臓でろ過された水分を再吸収する作用があります。バソプレシンの作用によって、血管内の水分が増加し、トータルで考えると、水の移動によってナトリウムは薄まる方向に移動するということになります。

肝硬変の非代償期症状 浮腫(むくみ) どう対応?

肝硬変になると腹水(後述)が溜まり、お腹が膨らんでくることは有名ですが、全身にも余分な水分が溜まってむくみや浮腫を引き起こします。

原因は、腹水の場合と基本的に同様ですが、肝硬変によって肝臓で作られる「アルブミン」という蛋白質が減少してきます。アルブミンは、体内でさまざまな物質と結合して、目的の場所に運搬する働きや、水を引きつけて浸透圧の維持に働いています。そのため、肝硬変によってアルブミン濃度が低下すると、血管内の水分が血管外に出て行ってしまいます。その結果、全身に余分な水分が溜まった状態であるむくみ(浮腫)を生じます。

予防と治療については、腹水の場合と同様で、塩分と水分の制限、そして利尿剤やアルブミン製剤を用いて治療していきます。

肝硬変の非代償期症状 腹水、胸水 どう対応?

お腹の中には、健康な人でも少量の水が溜まっていますが、何らかの原因によって正常な範囲を超えてお腹に水が溜まった状態のことを「腹水」と呼んでいます。

腹水の原因にはさまざまなものが存在しますが、大きく分けて「滲出(しんしゅつ)液」と「漏出(ろしゅつ)液」の2種類があります。肝硬変で見られる腹水は通常、漏出性であり、血液中の水分が漏れ出たものと理解してください。

肝硬変では、肝臓で合成されている「アルブミン」という蛋白質の合成が低下してしまいます。アルブミンは、血管内において、浸透圧の作用によって、水分を血管内に留めておく作用があります。そのため、肝硬変で、血中のアルブミン濃度が低下すると、血管内の水分は、血管外にしみ出て行ってしまいます。その水分がお腹(腹腔)に溜まってしまったものが、肝硬変による腹水になります。

症状としては大量に溜まれば見た目でも分かりますし、患者さんが、お腹の張った感じを自覚することが多いです。また、エコー検査を行えば、どの程度腹水が溜まっているのか調べることができます。

基本的な治療としては、まず自分自身でできることとして、塩分制限と水分制限が挙げられます。塩分は、水を引き込む作用があるため、腹水を悪化させてしまいます。したがって、1日の塩分は5g以下に抑え、水分も食事以外に600mlまでとするのが目安となります。

治療薬としては、体内の水分を排泄させる利尿薬(「フロセミド」「スピロノラクトン」など)や、アルブミン製剤を用いることがあります。さらに、難治性の場合には、腹腔穿刺(ふくくうせんし)と言って、直接水の溜まっている腹腔に針を刺して水を抜く方法などがあります。

肝硬変の非代償期症状 肝性脳症 アンモニアが関係?どう対応?

まず、肝臓の機能には大きく分けて、「栄養の代謝」「解毒」「胆汁」の排泄の3つがあります。これらのうち、肝硬変の症状である「肝性脳症」は、肝臓の解毒の作用が大きく関与しています。通常であれば、腸管内で生じた有害なアンモニアは、肝臓に運ばれて、無害な尿素に代謝されます。しかし、肝硬変によって、肝機能が低下するとアンモニアの処理がうまくできなくなり、アンモニアの血中濃度が上昇して、特に脳の働きに影響を及ぼします。このことを「肝性脳症」と呼んでいます。

肝性脳症の初期には、昼夜逆転のような昼間眠く、夜になかなか眠れないといった症状や性格の変化が見られます。進行すると、「羽ばたき振戦(しんせん)」と呼ばれる手の震えも出現してきます。さらに重症化すると、興奮状態や意識が低下が起き、最終的には昏睡状態に至ることもあります。肝性脳症の診断には、肝疾患の存在と、羽ばたき振戦や意識障害といった神経症状、血中アンモニア濃度の上昇などが参考になります。また、肝性脳症には重症度評価があり、昏睡度分類が存在し、睡眠リズムの逆転といった軽症な「Ⅰ度」から痛み刺激にも反応しない深昏睡と呼ばれる「Ⅴ度」まで分かれています。

肝性脳症の原因には、食事からの過剰な蛋白質の摂取や、食道静脈瘤(食道の静脈のこぶ)の破裂による消化管出血などが挙げられます。したがって、肝硬変では、食事からの蛋白質摂取が過剰とならないように蛋白質制限を行います。具体的には、1日で、体重1キロ当たり0.4gから0.6gほどの低蛋白の食事が予防に有効で、便通を整えることも大切となります。また、定期的な胃カメラ検査によって、食道静脈瘤に対する出血予防も重要となります。薬物療法としては高値になったアンモニア濃度を低下させる作用のある「分枝鎖アミノ酸(BCAA)」の輸液なども行っていきます。

肝硬変の非代償期症状 黄疸 アンモニアが関係?どう対応?

「黄疸」とは、「ビリルビン」と呼ばれる色素が血液中に増加し、全身の皮膚や粘膜に沈着した状態を意味します。

ビリルビン濃度の増加の原因は、肝臓そのものの障害だけでなく、赤血球の破壊が進む亢進(「溶血」)、胆道系の閉塞などが挙げられます。肝硬変では、肝細胞が障害されるために肝臓で代謝され、胆汁に含まれているビリルビンが、胆管へと運搬される機能が低下してしまいます。その結果、ビリルビンが排泄できずに血液中にあふれてしまうため、皮膚に沈着して、黄疸となってしまいます。

黄疸の症状と言うと、眼球の白目の部分が黄色くなることが一般的ですが、全身の皮膚も黄色くなります。また、便の色が白くなったり、尿が褐色になること(ビールよりも濃い色)、皮膚のかゆみなどの症状も見られます。

黄疸の治療についてはその原因となる病気の治療が基本となります。ただ、肝硬変の非代償期(もともに戻らない状態)であれば、黄疸そのものに対する治療は現在のところあまりなく、「ウルソデオキシコール酸」と呼ばれる胆汁の流れをよくする薬が用いられます。

肝硬変の末期症状とは何を指す

肝硬変が、非代償期となり、いわゆる「末期」という程度まで、症状が進行して来ると、代償期に見られていた症状がより顕在化してきます。まず、黄疸に関しては眼球の白目の部分が黄色くなって気付かれることが多いですが、進行とともに全身の皮膚も黄色みを帯びてきます。また、この頃には腹水もかなり溜まってしまっているため、腹水を抜く処置(腹腔穿刺、ふくくうせんし)も頻繁に行うようになるでしょう。さらに正常であれば肝臓で代謝されるアンモニアが、脳に移行してしまい「意識障害」などが見られる肝性脳症もみられてきます。

肝硬変による死因については、1970年代には「肝不全」「消化管出血」「肝がん」が同じ程度で占めていましたが、最近では肝がんが70%ほどを占め、消化管出血や肝不全で亡くなる方は減ってきています。理由として、消化管の内視鏡的治療や肝臓の残った機能を保つ薬の進歩によって、最終的に肝がんになるまで、その他の合併症をある程度コントロールできるようになったためだと、考えられます。

肝硬変の合併症 門脈圧亢進症 静脈瘤とどう関係?吐血する?対応は?

「門脈圧亢進症」とは、肝硬変などの原因によって、肝臓に流れ込む「門脈」という血管の圧が上昇し、さまざまな合併症を引き起こすことです。

門脈圧が高まる(亢進する)と、肝臓に血液が流れにくくなり、迂回するために胃・食道の静脈や、お腹の表面を走る静脈、直腸の静脈へと流れていきます。その結果、食道・胃静脈瘤や、お腹に「メデューサの頭」と表現されるような静脈が浮き上がった様子が見られます。

また、門脈の血液が肝臓を通過しないで全身にまわってしまうため、アンモニア濃度が上昇して、肝性脳症の一因にもなります。さらに門脈圧の亢進によって、脾臓にも血液が流れ込み、脾臓が膨れてきます。そうすると脾臓の機能も高まり、血小板をはじめとした血球の減少も起こります。

門脈圧亢進症による重要な合併症の1つに食道・胃静脈瘤があります。静脈瘤は、食道や胃の粘膜下で、静脈が拡張した状態です。静脈瘤自体に、症状はありませんが、破裂によって出血すると、大量の吐血を伴い、致命的にもなるため予防が大切になります。1970年代では、食道・胃静脈瘤の破裂による出血が肝硬変の死因のおよそ30%を占めていたという報告もあります。

食道・胃静脈瘤は内視鏡検査(胃カメラ)で、簡単に観察することができ、内視鏡で予防的な治療を行っていきます。主な治療としては、静脈に硬化剤を注入する「内視鏡的硬化剤注入療法(EIS)」や静脈瘤をゴムバンドで縛ってしまう「内視鏡的静脈瘤結紮術(EVL)」などがあります。また、内視鏡を用いず血管内カテーテルによって硬化剤を注入する「バルーン下逆行性経静脈的塞栓術(BRTO)」と呼ばれる治療もあります。

肝硬変の合併症 肝臓がん 対応は?

肝臓がんの大部分は、肝細胞がんというタイプに分類されます。日本における肝細胞がんの最大の原因はC型肝炎であり、およそ75%を占めています。次いでB型肝炎が約15%を占めています。肝炎ウイルスの長期にわたる感染は、肝細胞も長年にわたって炎症を繰り返し、ついには遺伝子変異が積み重なって、がんになってしまうと考えられています。

また、肝炎の患者さんが必ず肝細胞がんになるというわけではなく、持続的な感染によって肝硬変へと移行していることがポイントとなります。ウイルス性以外のアルコール性などでも、肝硬変への移行が肝細胞がん発症に重要とされています。

肝臓は沈黙の臓器とも言われ、自覚症状もほとんどないため、C型肝炎の場合では感染から20年から30年して、肝細胞がんを発症すると言われています。個人差もありますが、一般的には60歳代以降で発症リスクが高まってきます。現在では、肝硬変による死因の第1位が肝細胞がんであり、肝硬変に至る前により早期に肝炎を発見することが大切です。

肝細胞がんに、特有な症状はほとんどなく、検診等で偶然発見されることも多々あります。検超音波検査やCT検査で発見可能で、治療は基本的に手術となります。ただし、肝細胞がんは多発することもあり、数が多かったり、肝臓の障害度が高い場合には、手術は選択されません。その場合、肝動脈に直接抗癌剤を注入する治療やがんに栄養を送っている血管を詰まらせてしまう治療などを行っていきます。また、肝硬変に合併した肝細胞がんでは肝移植の適応となることもあります。

肝硬変の合併症 糖尿病 対応は?

肝臓は、余分な糖分を取り込んで蓄え、必要な時に放出してエネルギーとして利用することのできる、血糖コントロールの中心的な臓器です。そのため、慢性肝炎や肝硬変によって肝臓に障害が起こると、ブドウ糖(グルコース)の処理能力が低下して、耐糖能障害(血糖値を正常に保つ働きの障害)をきたします。慢性肝炎患者のおよそ20%、肝硬変患者のおよそ30%が耐糖能障害を合併していると言われています。

肝硬変では、食後に小腸で吸収されたグルコースを、肝臓でグリコーゲンに変換して蓄えることができず、食後に明らかな高血糖が見られます。また、逆に空腹時では、肝臓にグリコーゲンが蓄えられていないため、空腹時の血糖値はほぼ正常であるという特徴があります。

一般的な2型糖尿病では食事療法と運動療法が基本となり、経口糖尿病薬でコントロールしていくというのが通常です。しかし、肝硬変に合併した糖尿病では、治療方針も異なる部分があります。まず、運動療法については、一般的に運動は良いと考えることが多いと思いますが、肝硬変では肝臓への血流が落ちてしまうため過度な運動はしないほうがよく、肥満防止と筋肉量を維持するための軽い運動にとどめたほうがよいと言われています。

また、糖尿病の治療薬については、通常の糖尿病であれば飲み薬から開始していくことが一般的ですが、糖尿病の薬は肝臓で代謝される薬も多く、肝臓に負担をかけてしまうため、インスリンの自己注射を行っていく必要があります。

肝硬変の検査と診断 血液検査 血小板減少?アルブミン、ビルビリン、γグロブリン、コレステロールが変化?数値基準はある?

肝硬変に限らず、肝機能のスクリーニング検査として健康診断や人間ドックなどでも行われるのが血液検査です。肝機能を評価するための血液検査の項目には、以下のようなものがあります。

・AST(GOTとも)
・ALT(GPTとも)
・γ-GTP
・ALP、総ビリルビンv ・アルブミン
・コレステロール
・血小板数
・プロトロンビン時間

また、肝硬変の原因となるB型肝炎の検査(HBs抗原)やC型肝炎の検査(HCV抗体)なども血液検査で評価できます。これらの、検査項目の中でASTやALTは「逸脱酵素」とも言われ、肝臓の細胞が壊れたときに放出されるため、これらの数値が高いほど肝臓の炎症が強いこと、つまり肝炎の状態の評価を表わしています。正常値は「AST:10-40U/L」「ALT:5-45U/L」となります。

一方で、肝機能の評価には、アルブミン(Alb)、総ビリルビン(T-bil)、プロトロンビン時間(PT)などが有用です。

アルブミン(正常値:3.7-5.5 g/dl)は、肝臓で作られる蛋白質であり、この値が低下していれば、肝臓での合成能力が低下していることになります。アルブミン以外に「コレステロール」や「コリンエステラーゼ」といった物質も肝臓の合成能力を表わす指標になります。総ビリルビン(正常値:0.3-1.2 mg/dl)は、胆汁がうっ滞している指標になり、この値が高ければ黄疸の症状が見られてきます。プロトロンビンは、肝臓で合成される血液を固める蛋白質の一種ですが、この値も肝臓の合成能力を表わしています。

ちなみに、肝硬変の重症度分類である「Child-Pugh 分類(チャイルド・ピュー分類)」にも血液検査で分かる総ビリルビン、アルブミン、プロトロンビン時間%が含まれています。 また、その他の検査項目としては、血小板数が挙げられます。血小板も肝臓で合成され、肝炎の進行とともに血小板数は減少してきます。一般的に、おおよその血小板数と肝炎の程度として、軽度の慢性肝炎で血小板数は15万以下、肝硬変に至ると10万以下になると言われています。

肝硬変の検査 CTやエコーも使う?

最も一般的に行われる検査が血液検査であり、さまざまな病気のスクリーニング(可能性があるかを見極める検査)だけでなく、肝臓の状態や病気がどの程度進行しているかの指標となります。肝硬変の状態を把握するために、もう1つ重要な検査がCTや超音波(エコー)検査になります。

エコー検査はCTのように被爆の心配もなく、身体への侵襲もないため最も頻繁に行われる検査です。エコー検査では、「プローブと」呼ばれる機械から超音波を当て、体内から反射して帰ってくる超音波を、画面上に映し出して、観察します。肝硬変の場合、エコー検査では肝臓に小さながんがないか、腹水が溜まっていないかなどをチェックします。一般的には、肝硬変の患者さんで、3カ月に1度のペースで、慢性肝炎の方で半年に1度のペースで検査するほうがよいとされています。

一方、CT検査は、機械を回転させながら、レントゲンと同じように身体にX線を照射し、輪切りした画像で評価する方法です。CT検査は、エコー検査に比べて画像の解像度が優れているため、エコーでは見えないような腫瘤や静脈瘤などの病変を見つけることができ、エコー検査を補う役割があります。また、肝硬変では、肝臓が硬くなり、肝臓の表面が凸凹した状態も観察できます。さらに、造影剤を用いると、血流などの情報も得られ、とても優れた検査と言えます。

CT検査も、エコー検査と同様に肝硬変の患者さんで3カ月に1度程度、慢性肝炎の方で半年に1度のペースで検査を行っていくことが多いです。

肝硬変の治療薬と副作用 アミノレバン?

肝硬変に用いられる薬剤にはいくつか種類がありますが、現在のところ肝硬変そのものを治療する薬はありません。したがって、肝硬変の薬物療法は非代償期(もとに戻らなくなってしまった時期)の合併症に対して使用することが多くなります。

肝硬変では、肝臓の合成能力が落ちて、蛋白質の1つである「アルブミン」の血中濃度が低下します。アルブミンは血管内で水分を引きつけておく作用があり、アルブミン濃度が低下すると、血管内の水分が血管外にしみ出て、むくみや浮腫を引き起こします。むくみの症状には、尿量を増やしてむくみを取る、フロセミドやスピロノラクトンと呼ばれるような利尿薬を使用します。

また、肝硬変で、眠気や意識障害など脳の症状が見られるのが肝性脳症です。肝性脳症は肝臓でもアンモニアの解毒作用が低下することや、アミノ酸の一種である「芳香族アミノ酸」というものの割合が増えることで起こるとされています。したがって、肝性脳症では「分枝鎖アミノ酸」というものの割合が減ってしまうため、「ロイシン」「イソロイシン」「バリン」などと呼ばれる分枝鎖アミノ酸が配合された「アミノレバン」と言われる薬剤も使用されます。

アミノレバンは、体内でのアミノ酸バランスを良くすることで肝性脳症を予防したり、アルブミンの元となるアミノ酸を供給すること、でむくみや浮腫の改善につながります。また、体内の溜まったアンモニアを排泄しやすくするために、「ラクツロース」などと呼ばれる、アンモニアを下げる薬も使用されます。

その他、肝硬変では門脈圧が高まるために、血流の上流にあたる胃や食道の静脈がうっ滞し、炎症や出血が起こりやすくなります。そのため、胃酸の分泌を抑えて粘膜を保護する「胃粘膜保護薬」が用いられることもあります。さらに肝硬変では出血傾向(出血が止まりにくい状態)となるため、ビタミンKの補充なども行われることがあります。

肝硬変の手術治療はどんなもの?リスクは?

肝硬変そのものを治療する手術や薬物治療はないのが現状です。ただし、根治的な治療法として、適応があれば、つまり条件がそろえば、肝移植を受けることが可能です。また、肝硬変そのものに対する治療ではありませんが、合併症である肝臓がんや食道・胃静脈瘤に対して手術を行う場合はあります。

肝硬変患者の手術治療では、周術期(手術前、手術中、手術後の一連の期間)の手術・麻酔におけるリスクが報告されています。肝硬変患者の周術期におけるリスクとなる要因としては、「男性」「Child-Pughスコアが高い」「腹水有り」「感染症有り」「消化管出血有り」などが挙げられます。肝硬変患者の周術期における死亡率は12%、合併症の発症率は30%というデータもあります。また、Child-Pughスコアが高いほど死亡率も高く、手術を行う際には肝硬変の予後や、周術期死亡率を考慮して決定する必要があります。

肝硬変は移植で治る?日本で受けられる?

肝硬変では、重篤な肝障害がおこり、最終的には、肝細胞が壊れて肝臓の機能を果たせない「肝不全」という状態に至ります。肝不全の状態になると、「ビリルビン」という物質が排泄できないことによる「黄疸」や、血小板を産生できなくなることによる「出血傾向」に加えて、腹水、食道静脈瘤、肝性脳症などさまざまな症状を呈してきます。

肝不全の治療方針には内科的治療と外科的な治療があります。基本的には内科的治療で個々の症状に対応していき、それでも改善が見られない場合に肝移植といった外科的治療が考慮されます。

移植の時期については、肝硬変の重症度を分類するChild-Pugh 分類で評価します。Child-Pugh 分類では以下の3段階にわけられています。

Grade A →5~6点の軽症
Grade B →7~9点の中等症
Grade C →10点以上の重症

これまでのデータから、軽症であるGrade Aでは、肝移植を行わなかった場合と比較して予後(治療成績や生存確率など)に大きな差はなく、保険適応もないことから積極的に移植は考慮されません。したがって、積極的に移植が考慮されるのは中等症であるGrade B以降となります。ただし、かなり進行してしまっているGrade Cのような状態では、そもそも移植の手術自体に、身体が耐えられない可能性もあり、検討が必要になります。

肝移植には、脳死状態となった方から肝臓を提供していただく「脳死肝移植」と、健康な生体ドナーの方から肝臓の提供を受ける「生体部分肝移植」があります。ただし、脳死肝移植では、日本では提供可能なドナーの数が少ないため、登録後移植までには平均1年から3年程度、待たざるをえないのが現状です。

全国の生体肝移植の成績は、5年生存率(治療から5年後に生存している確率)がおよそ75%と高く、肝硬変の末期患者の命を救う唯一の方法にはなりますが、移植に伴う合併症など100%保障するものではないことを理解しておく必要があります。

肝硬変になった際の食事 どのようなものが良い?だめなものはある?

肝硬変の方は、食事療法が必要となりますが、最近では、治療薬の進歩によって、厳しい食事制限ということはなくなってきたようです。

肝硬変は、肝機能が比較的よく保たれ自覚症状にも乏しい「代償期」とChild-Pugh 分類でGrade BあるいはCに相当し、肝機能が低下しているため、むくみ(浮腫)、腹水による腹部膨満、黄疸、肝性脳症など肝硬変に特徴的な症状が見られる「非代償期(もとに戻らない状態)」に分けられます。

 

代償期の肝硬変の場合、基本的に食事制限の必要はありません。バランスの良い食事を心がけ、太らないようにすることも大切となります。また、過剰に鉄分を摂取すると、肝機能に悪影響を与えます。貧血が無い限りは、鉄分の摂取は控えめにするほうがよいです。

一方、非代償期では、代償期に比べて注意しなければならないことが増えてきます。

まずは塩分制限です。基本的に1日7g以下とします。肝硬変では「アルブミン」という肝臓で作られる蛋白質が減少し、水分を溜めやすい状況、つまりむくみが生じやすくなるため、むくみや腹水を予防するために減塩は非常に大切です。 また、肝臓にはアンモニアの解毒作用があり、肝硬変によってアンモニアが脳に蓄積すると意識障害などを起こす「肝性脳症」という病気を引き起こすこととなります。アンモニアは動物性蛋白質の摂取で増加するため、非代償期の患者の方は、蛋白質の制限と排泄を促すために便秘に注意し、食物繊維を多く摂ることも大切です。非代償期と同様、バランスのよい食事を心がけることも重要になります。

肝硬変になると必ず入院する?入院期間はどれくらい?

肝硬変で入院になる場合は、一般的に合併症である「肝臓がん」や静脈瘤(静脈にできたこぶ)に対する治療、末期である場合などが考えられますが、それ以外の場合、通院での治療となります。入院となった場合の、入院期間は通常、1か月から2か月となることが多いでしょう。肝臓がんの手術を行う場合でも、2週間程度、内視鏡的に静脈瘤の手術を行う場合でも同様に2週間から3週間程度の入院期間となるようです。

また、肝硬変の原因として一番頻度の多いC型肝炎を例にとってみると、「肝生検」という肝臓に直接針を刺して組織を採取して調べる検査のための入院では、2泊3日程度の入院となることが多いです。さらに、C型肝炎と診断され、インターフェロンと呼ばれる薬によって治療を開始する場合には、基本的に通院可能ですが最初の2週間程度は副作用などの様子を見る意味で入院となります。

肝硬変の予防方法

肝硬変は、残念ながら、現在のところ有効な治療法は確立されておらず、肝硬変になる前に早期発見・治療を行うことがとても大切な病気です。

例えば、肝硬変の一番の原因であるC型肝炎の場合、治療薬が日々進歩し続けており、現在行われている治療では、原因となるウイルスの駆除の確率は80%から90%以上と非常に高い成績を収めています。

そこで肝硬変にならないようにするためには、まず肝臓に異常がないか知ることです。肝臓は「沈黙の臓器」とも言われており、非常に自覚症状が出にくいため、血液検査や検診等で肝炎ウイルスの検査を行って早期発見に努めることが予防になります。

また、肝硬変の原因としてアルコール性肝障害や脂肪肝もあるため、過剰な飲酒を控え、メタボリックシンドロームなど生活習慣病にならないような生活習慣を心掛けることも自分でできる対策として大切です。

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