切迫早産の疑問 繰り返す?逆子、安産、帝王切開になりやすい?関係ない?

  • 作成:2016/08/29

「切迫早産」と診断されたり、周りの人から「切迫早産になった」と聞くと、いろいろな疑問が浮かんでくるかと思います。再発可能性と逆子、安産、帝王切開と関係について、専門医師の監修記事で、わかりやすく解説します。

平松晋介 監修
ちくご・ひらまつ産婦人科医院 院長
平松晋介 先生

この記事の目安時間は6分です

切迫早産だと逆子になりやすい?

目次

切迫早産は繰り返しやすい?一人目が切迫早産だと二人目もなりやすい?

切迫早産は繰り返すことがあります。一人目が切迫早産だとなぜ二人目も切迫早産になってしまうのか、原因を振り返って考えてみましょう。

切迫早産になる母体側の原因には、頸管無力症や円錐切除術などの既往歴(病歴)、喫煙やストレス、やせなどの生活習慣、絨毛膜羊膜炎や多胎妊娠、高齢妊娠などの現症(現時点でみられる症状)があります。

頸管無力症は胎児がいる子宮と出口である膣の間にある子宮頸管という壁が柔らかくなってしまっている体質で、体質ということは毎回の妊娠に影響するものなので、何度目の妊娠でも切迫の可能性があるということです。

円錐切除術も同じで、子宮頚管の一部を手術で取り除いているので、その分壁が薄くなっています。この場合も、子宮頚管が短いという体質になっているので、同じように切迫早産のリスクになります。

一人目が切迫早産になった原因が喫煙、ストレス、やせなどの生活習慣であった場合は、生活習慣を改善しなければ、また同じように切迫早産になる可能性は十分考えられます。

現症としては、高齢妊娠や合併症妊娠により切迫早産を繰り返す可能性が考えられます。

糖尿病の合併妊娠も切迫早産、早産リスクをあげます。血液中の血糖値が高いと、身体の免疫機能を担っている白血球の働きが悪くなり、「易感染性」といって、感染症にかかりやすい状態になっています。このため、糖尿病合併妊娠では「絨毛膜羊膜炎」などを合併しやすくなります。

また、胎児は母体の血液を介して栄養を補給しているため、母体の血糖値が高いと胎児の血糖値も高くなります。糖尿病の症状の一つとして「多飲、多尿」があります。血糖値が高いと、「腎臓での浸透圧性」という原因の多尿になります。その結果、多尿になりのどが渇き、水分をたくさん摂取するようになります。水を飲めば飲むほど尿量も増えるので、多飲の後はさらに多尿になります。血糖値が高い胎児にも多飲、多尿がみられ、羊水過多になり、これも早産のリスクになります。

この他、母体の高血圧も早産に影響します。胎児は胎盤を介して母体から栄養を補給しており、胎盤は母体の子宮にある「らせん動脈」という動脈から栄養を受けています。高血圧では、血管が細くなってしまっているため、らせん動脈からの血流が十分に得られず、胎児は低酸素状態に陥ります。胎児の発育に障害が起きると、「副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン CRH(corticotropin-releasing hormone)」というホルモンが放出され、子宮が収縮します。

このように、合併症をもっている限り、妊娠には切迫早産のリスクが伴います。高齢妊娠では、加齢によって高血圧や糖尿病などの生活習慣病を合併するリスクが上がるため、年齢を重ねる毎に切迫早産のリスクはあがっていき、繰り返す可能性も十分に考えられます。

切迫早産と逆子の関係? 因果関係や相関関係あり?

逆子は、切迫早産になる要因のひとつとなる可能性があります。胎児は羊水の中に浮かんでいる状態で、羊水と胎児は「卵膜」という膜に包まれています。正常位では、頭と子宮壁が密着しているため、子宮の収縮が起こっても羊水に圧がかかりづらく、卵膜にも影響を与えません。一方、逆子では、子宮壁と胎児との密着感が少なく、子宮が収縮すると、羊水に強い圧がかかり、破水しやすくなります。 破水すると、陣痛が起こりやすくなり、切迫早産の可能性が出てきます。また、羊膜や絨毛膜は、外界を隔てる壁として、常在菌からの感染を防ぐ働きもあるため、破水によって絨毛膜や羊膜が失われると常在菌に感染しやすくなります。これもまた切迫早産の原因になります。

また、切迫早産と逆子に共通する原因として、羊水過多の場合が考えられます。羊水過多では、子宮そのものが大きくなるため、子宮収縮が起こりやすくなリます。また、胎児と子宮壁の間に距離があきやすく、子宮の収縮が起こった際に破水しやすくなります。胎児と子宮壁の間に距離があるということは、それだけ胎児が動きやすくなっているため、逆子になる可能性もあがります。

切迫早産だと安産になりやすい?なりにくい?

切迫早産では安産になりやすいことが知られています。切迫早産というのは今にも分娩が始まろうとしている状態です。胎児は、まだ産まれる準備ができ上がっていないのに、子宮は分娩に向けて成熟化し、収縮を繰り返します。

分娩のための子宮の成熟化には、「Bishopスコア」という診断基準を用います。以下の5つが基準となります。

・子宮口開大度(10cmを最大とし、開いているほど成熟している)
・展退度(頸管の長さで、短いほど成熟している)
・児頭の位置(胎児の頭がどの辺りにあるかをみていて、下りてきてほど成熟している)
・頚部の硬度(やわらかいほど成熟している)
・子宮口の位置(前方に向かっているほど成熟している)

難産になる原因は、子宮口が開いていない、児頭が下りて来ない、など、産道が完成していないことなので、切迫早産と真逆な状態です。逆にいえば、今にも分娩が始まろうとしている切迫早産では、安産になる可能性が高いと考えることができます。

切迫早産だと帝王切開になりやすい?なりにくい?

切迫早産だからといって帝王切開になりやすいとはいえません。 帝王切開の適応基準(選択される基準)は、母体側の要因としては以下のようなものがありあます。

・児頭骨盤不均等→骨盤の広さよりも胎児の頭の大きさのほうが大きくて、分娩できない状態で、骨盤の狭い女性や巨大児などで起こり、原因としては、低身長や母体の肥満、糖尿病が考えられます

・常位胎盤早期剥離→胎児の命綱である胎盤が子宮壁から剥離(はくり、はがれること)してしまう状態で、こうなると胎盤を介して栄養を受け取れなくなってしまうため、緊急帝王切開を行う必要があります

・前置胎盤→本体子宮の側面に形成されるはずの胎盤が、子宮下部にでき、結果として出口をおおってしまう形で形成される状態。胎盤は血液が豊富な器官であり、経腟分娩では大量出血がおきて、母体がショック状態に陥る危険性もあります。このため、前置胎盤でも帝王切開が行われます。

・重症妊娠高血圧症候群

・性器単純ヘルペス合併妊娠

・子宮破裂

一方、胎児側の要因としては、以下のようなものがあります。

・胎児機能不全→妊娠中に胎児に心拍の低下や消失がみられる病態。絨毛膜羊膜炎や妊娠高血圧症候群、母体の心疾患や多胎妊娠など非常に様々な原因が考えられます

・胎児の形態異常(巨大児など)

・体位・体勢の異常(骨盤位など)

・臍帯脱出→破水後に臍帯(へその緒)が子宮から出てきてしまい、子宮壁や胎児自身によって圧迫されることで血流が途絶え、急激に胎児機能不全になってしまう病態です。骨盤位や狭骨盤、前期破水などが原因となります。

以上のように、切迫早産自体が、帝王切開が選択される条件になるわけではありません。ただし、切迫早産のリスクには重症妊娠高血圧症候群や単純ヘルペス合併妊娠などの合併症妊娠、胎児機能不全の原因となるような絨毛膜羊膜炎、多胎妊娠などがあり、切迫早産のリスクと帝王切開適応となる病態に重複がみられるのも事実です。また、妊娠35週未満の切迫早産で子宮収縮コントロールできない症例や前期破水を起こした症例では、胎児が経腟分娩に耐えられないと判断される事が多いため、帝王切開術の適応になる事が多いです。このため、切迫早産の場合に、合併する病態の結果として、帝王切開が行われることは珍しくありません。



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切迫早産と、再発可能性、逆子、帝王切開との関係などについてご紹介しました。切迫早産に対して、不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。

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