子宮肉腫の原因、症状、治療、生存率 転移する?検査でわかる?痛む?予防は可能?

  • 作成:2016/10/03

子宮肉腫とは、子宮にできる悪性腫瘍の1つです。まれな病気ではありますが、がんと同様転移する可能性があり、発症後の治療見通しが良い病気ではありません。原因や症状などを含めて、専門医師の監修記事で、わかりやすく解説します。

近藤恒正 監修
落合病院 副院長
近藤恒正 先生

この記事の目安時間は6分です

子宮肉腫の治療はどんなもの?

目次

子宮肉腫とはどんな病気?

子宮肉腫とは、子宮にできる悪性腫瘍の一種です。 子宮にできる悪性腫瘍には、他に子宮頸がんや子宮体がんがあります。子宮頸がんは子宮頸部の上皮から発生しますし、子宮体がんは子宮内膜から発生しますが、子宮肉腫は、子宮体部の筋肉など内膜以外の部位に悪性腫瘍ができる病気です。子宮肉腫は、肉腫のできる部位によって次の3つに分けられます。

癌肉腫(=ミューラー管混合肉腫):がん細胞と肉腫の両方が混在している
平滑筋肉腫:子宮の壁の内側にある筋肉から発症する
子宮間質肉腫:子宮内膜の下にある間質細胞から発症する

それぞれの割合と平均年齢は以下の通りです。

癌肉腫→患者の割合42%、平均年齢60歳
平滑筋肉腫→患者の割合48%、平均年齢62歳
子宮内膜間質肉腫→患者の割合10%、平均年齢49歳

子宮肉腫の原因

子宮肉腫の原因は明らかになっていません。ただ、乳がん治療などで「タモキシフェン」という薬を使用したことがあったり、骨盤内の放射線治療歴がある場合は、子宮肉腫の発症リスクが高いとされています。また、閉経、肥満、糖尿病、高血圧なども、子宮肉腫の発症リスクが上昇すると考えられてます。

子宮肉腫は、子宮体がんの2%から5%と婦人科領域のがんの中でもまれな病気であり、患者数は毎年約800人と推測されています。

子宮肉腫は、見た目も症状も子宮筋腫と似ています。ただし、良性腫瘍である子宮筋腫は放置しても生命に影響を及ぼすことがありませんが、子宮肉腫は悪性腫瘍であるため放置すると死に至ることも少なくありません。

自己判断するのは大変危険ですので、気になる症状がある場合は婦人科に相談しましょう。診察の結果、子宮肉腫の可能性がある場合は、なるべく婦人科腫瘍専門医がいる医療機関を紹介してもらうことをお勧めします。

子宮肉腫の症状とは?痛みがある?子宮筋腫と比べて大きさに違いがある?

子宮肉腫の主な症状として、生理以外の時期や閉経後の不正出血があります。また、膿のようなおりものが出たり、腹痛や下腹部の違和感などが現れたりすることもあります。

子宮肉腫が進行すると、大きくなった腫瘍が炎症を起こしたり他の臓器を圧迫したりするため、痛みが激しくなる傾向があります。とくに、腫瘍が急に大きくなったときは注意が必要です。また、良性腫瘍である子宮筋腫は、閉経すると次第にしこりが小さくなりますが、閉経後もしこりが大きくなるときは、子宮肉腫の可能性が考えられます。

ただし、早期の段階では自覚症状がほとんどないことも珍しくありません。

子宮肉腫の検査と診断 MRIや腫瘍マーカーでわかる?

子宮肉腫の疑いがある場合には、まず内診を行い、子宮の形や、子宮の周囲の臓器との癒着(本来くっついていないところがくっつくこと)などを調べます。子宮が大きい、形がいびつになっているなどといった異常がみられるときは、「細胞診」や「組織診」という検査を行います。「細胞診」は、子宮の入口と子宮の奥をこすりとって採取した細胞を顕微鏡で調べる検査です。「組織診」は、子宮の一部を器具でひっかいて採取した組織を顕微鏡で調べます。

子宮肉腫の診断では血液検査を行うこともあります。子宮肉腫を発症すると、多くの人が血液中の「LDH」という成分の量が上昇します。そこで、血液検査でLDHの量を調べて、子宮肉腫の発症の目安である腫瘍マーカーとして用いることもあります。ただし、子宮肉腫以外の病気が原因でLDHが上昇することもあるため、診断を確定するには細胞診、組織診、画像診断などの検査も合わせて行うことが必要です。

また、子宮肉腫の検査ではMRIや超音波検査なども行います。MRIでは、造影剤を使った場合の腫瘍の染まり具合を見ることで、子宮肉腫の可能性についての評価が可能です。また、超音波検査も子宮肉腫の大きさや場所を確認するためにも重要な検査です。

「子宮筋腫」といわれる場合も

ただし、検査の結果、当初は子宮筋腫と診断され、組織を摘出した後に検査したところ子宮肉腫と診断される例も少なくありません。過去に、子宮筋腫など他の病気と診断されたとしても、油断せずに定期的に検査を受けるようにしましょう。また、診断結果に不安を感じるときは、別の医療機関でセカンドオピニオンを行うのも方法のひとつです。

子宮肉腫は転移する?重症度の分類は?

悪性腫瘍の一種である子宮肉腫は、放置するとがんである子宮体がんなどと同様に転移する病気です。早期の段階では、悪性腫瘍は子宮内にとどまっていますが、進行すると悪性腫瘍が子宮を破って他の臓器に広がったり、腹部内に散らばったり、血管やリンパ管を通り広がったりします。子宮肉腫とは、肉腫の広がり方や転移の状態などによって、通常のがんと同様I期からIV期のステージに分けられます。

I期:肉腫は子宮体部のみであり、子宮の頸部(入り口部分)にはみられない状態

II期:肉腫は子宮の頸部に広がっている状態

III期:肉腫は子宮外から骨盤内に広がった状態

IV期:肉腫が膀胱、直腸に進展している、骨盤外に広がっている、または身体の他の部位に転移している

子宮肉腫は、他の臓器に広がるほど、悪性腫瘍を確認できなくなる「寛解」という状態になるのが難しくなるため、早期に治療を始めることが大切です。また、子宮肉腫は再発しやすいこともわかっています。治療後も定期的に受診することが大切です。

子宮肉腫の予後、生存率 治療すれば治る?

子宮肉腫は、残念ながら、婦人科疾患の中でもとくに治療後の経過や見通しがよくない病気です。

治療開始から5年後に生存している人の割合(5年生存率)は、早期のI期の場合も50から56%、IIからIV期の5年生存率は7から12%にとどまっています。また、病気の分類別にみると、癌肉腫31%、平滑筋肉腫38%、子宮内膜間質肉腫36%となっています。

ただし、患者さんの病状や年齢、体調など個人差があるため、5年生存率などの数字はひとつの目安にすぎません。子宮肉腫と診断された後も、手術をはじめ放射線療法や化学療法などの治療を駆使した結果、治療後の経過が良好な患者さんも少なくありません。

子宮肉腫は患者数が少ないため、治療経験がない医師も少なくありません。このため、「子宮肉腫」と診断された場合は、なるべく子宮肉腫の治療経験が豊富な専門医を紹介してもらうのがよいでしょう。

子宮肉腫の治療法は?

子宮肉腫の発症数は年間約800人と少ないこともあり、現時点では標準的治療法(一般的な医療関係者の間で合意が取れている治療法)が確立していません。ただし、子宮肉腫は子宮体がんと似ている病気のため、通常は子宮体がんと同じ治療を行います。

子宮肉腫の治療では、可能である場合は手術を行う外科療法が推奨されています。外科療法では、子宮をすべて取り除く「腹式単純子宮全摘出術」と、両側の卵巣や卵管などを取り除く「両側付属器摘出術」も同時に行うのが一般的です。さらに、転移などを防ぐために、骨盤内と大動脈に沿ったリンパ節も同時に取り除く「リンパ郭清(かくせい)」を行うことが推奨されています。

手術後は、再発や転移を防ぐために、多くは放射線療法や化学療法を行います。放射線療法では、体の外から放射線を当てる「外照射」と、腟にチューブを差し込んで体内から放射線を当てる「近接照射」があり、照射法は患者さんの病状などによって異なります。 化学療法で使う薬剤は、患者さんの病状や病期によって異なりますが、「イホスファミド」「プラチナ製剤」「パクリタキセル」などの抗がん剤を、内服(のむこと)または静脈から注射します。また、黄体ホルモンを服用するホルモン療法を併用することもあります。

子宮肉腫が再発または転移した場合、可能であれば手術で悪性腫瘍を摘出します。手術が不可能な場合は、患者さんの病状に合わせて化学療法や放射線療法を行います。

なお、化学療法は、肝・腎障害、骨髄障害など重篤な副作用が現れることがあるため、定期的に血液検査を行うことが必要です。吐き気、脱毛、口内炎、味覚障害などの副作用がつらいときは、無理をせず、すぐに担当医に相談しましょう。



【関連の他の記事】


子宮肉腫は予防できる?

現時点では、子宮肉腫を100%予防する方法はわかっていません。そのため、定期的に婦人科検診を行い、早期発見を心がけるのが最善の対策とされています。とくに、子宮肉腫の発症リスクが高い人は、婦人科検診を受ける習慣をつけましょう。また、生理時以外の不正出血や腹痛など体調の変化に気づいたら、早めに婦人科を受診することが大切です。

子宮肉腫についてご紹介しました。子宮の病気への不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。

関連するQ&A

症状や健康のお悩みについて
医師に直接相談できます

  • 24時間受付
  • 医師回答率99%以上

病気・症状名から記事を探す

あ行
か行
さ行
た行
な行
は行
ま行
や行
ら行

今すぐ医師に相談できます

  • 最短5分で回答

  • 平均4人が回答

  • 50以上の診療科の医師