「生検」「細胞診」「組織診」とは?違いは?必要な場合、方法、結果の見方も解説

  • 作成:2016/09/21

「生検」「細胞診」「組織診」という言葉を聞いたことがある人も少なくないと思いますが、意味を理解している人はそう多くないかもしれません。簡単にいうと、検査のために体からサンプルをとることを「生検」といいます。とったサンプルに対して、「細胞診」「組織診」をして、癌かどうかなどを調べることとなります。必要なケースや結果の考え方を含めて、医師監修記事で、わかりやすく解説します。

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「生検」「細胞診」「組織診」の3者の違いとは?

目次

生検、細胞診、組織診の違い

生体(患者さんの体)から採取された「組織や細胞(検体といいます)」を染色し、顕微鏡などで観察する検査は「病理検査」といわれ、検査結果から下されるのが「病理診断」になります。

「生検」とは、「バイオプシー」ともいわれ、病理検査を行うため、細胞または組織を様々な種類の手技で採取することです。病理診断は、主として、以下の2つに分けられます

細胞診→採取された“ばらばら”になっている細胞を検査・診断する細胞診断
組織診→採取した組織を標本にして検査・診断する組織診断

組織は「細胞」の集合体ということができ、「細胞診」と「組織診」は検査の対象が異なるわけです。細胞診では、ほとんどは生検によらずに細胞を採取できますが、一部に生検の手技が必要なものもあります。

一方、組織診においては、検体の採取は生検によることが多いため「生検組織診」のように呼ばれることもあります。組織診の場合、「手術材料(摘出された臓器や組織)」などが検体(サンプル)になることもあります。

生検はどのような場合に実施する?

生検は、手術の必要性などの治療方針を決めるために、主として手術前に実施されることが多くなっています。例として、以下のような場合に実施します。

・胃や大腸、肺などの内視鏡検査を行った際に、病変(病気による変化)の一部をつまみ採ることができる場合
・皮膚や乳房など到達できる部位に「腫瘤(しゅりゅう;できもの、しこり)」などの病変がある時に、針を刺したり、切開して一部を採取できる場合

生検ができないケースとは?

病変が体の深い部分にある場合は安全に行うことが難しければ、生検の実施は不可能となります。

また、生検が禁忌(きんき;実施してはいけない場合)とされているものには、以下のような場合があります。

・生検によって出血や播種(はしゅ;腫瘍の細胞が元の部位以外に広がること)を起こす危険性が高い腫瘍(悪性、がんなどに多い)が疑われている場合
・血管や神経周囲の腫瘤(しゅようやこぶ)で、生検で出血や神経損傷が生じる可能性が高い場合

生検の方法概要 手術をすることもある?

生検の方法や手技には、さまざまな種類がありますが、一般的なものとして大きく分けて、針を使って組織や細胞を採取する「針生検」と、小さな手術で組織を採取する「外科的生検」があります。また、内視鏡下生検というものもあります。

(1)針生検;
(a) コア生検:比較的太い針を使って、病変部の組織のサンプルを切り採ります。針が太いため、一般に痛み止めの局所麻酔が行われます。
(b) 穿刺吸引(せんしきゅういん)生検:病変部に細い針を刺して、注射器で吸い出した細胞をサンプルにします。多くの場合、麻酔は不要です。「FNA[fine needle aspiration]バイオプシー」ともいわれます。

(2)外科的生検;一般に局所麻酔下の小手術で行われます。
(a) 切開(せっかい)生検:病変部を切開して、組織の一部を採取します。
(b) 摘出(てきしゅつ)生検:病変である“しこり”や疑わしい領域の全体を摘出してサンプルにする方法です。

(3)内視鏡下生検;
内視鏡でみながら行う生検で、内視鏡に通した細い鉗子(かんし;小さなハサミのようなもの)で病変の一部をつまみ採ります。

細胞診はどのような場合に実施する?できない人もいる?

病変が疑われる臓器からの検体、例えば痰(たん)や分泌液などの細胞を採取することにより、細胞診は、病変が炎症性か腫瘍性なのか、また腫瘍であれば良性か悪性かを判定するために実施されます。痛みなどの侵襲がなく、繰り返し検査をすることができる特徴があります。また、広い範囲の異常を発見することに向き、急げば1時間以内に診断が可能であることから、早期癌(がん)の発見や集団検診の一つとしても行われています。

痰や分泌液などの細胞診が、禁忌となるようなことはありません。子宮癌では、子宮粘膜を綿棒などでこすり取って細胞を集めます(正式には「擦過細胞診」)。子宮内膜(子宮体部)擦過細胞診は妊娠の可能性がある場合は、流産の恐れがあるため施行できません。 前述した穿刺吸引生検(FNAバイオプシー)によるサンプルに対する細胞診は、「穿刺吸引細胞診」ともよばれます。穿刺吸引細胞診は針生検によるものの1つですから、針生検の禁忌(前述)と同様になります。

細胞診の方法概要 尿を使うこともある?

さまざまな検体が細胞診のために採取され、それぞれの検体に応じた処理および細胞の染色が行われ、標本が作成されます。顕微鏡などで標本を観察し、診断が下されます。主な検体と対象としている悪性の病変(細胞)を下に示します。

(1)喀痰(かくたん;いわゆる“たん”);
「肺癌(がん)」など

(2)尿;
「膀胱癌」、「腎盂(じんう;腎臓における尿の出口にあたります)・尿管(にょうかん)癌」など

(3)乳頭分泌液;
「乳癌」など

(4)子宮粘膜擦過による検体;
「子宮頚癌」、「子宮体癌」など

(5)穿刺吸引生検(FNAバイオプシー)による検体;
しこりなど腫瘤を形成する病変で、「乳癌」、「甲状腺癌」、「癌のリンパ節転移」、「悪性リンパ腫」など

細胞診の結果はどのようなもの?どのようにみる?クラスとは?

細胞診の結果には、一般的にクラス(分類)として下に示す「パパニコロウ分類」というものが用いられています。「パパニコロウ」とは、細胞の形態を観察するための染色の方法です。

ClassⅠ;正常な細胞
ClassⅡ;ほぼ正常な良性細胞
ClassⅢ;良性・悪性のいずれとも判定しがたい細胞
ClassⅣ;悪性を強く疑う細胞
ClassⅤ;悪性(癌)細胞

クラス分類は、あくまでも検体に含まれている「細胞の悪性度」を判定しているもので、病気(癌)の進行度を表しているものではありません。穿刺吸引細胞診で、ClassⅢ・Ⅳの場合、さらに針生検などの組織診が行われることになります。

組織診の方法概要

細胞診の検査では、ばらばらの細胞の悪性度をみていますが、組織診では、小さいながらも組織をそのままの状態で観察・検査することができるので、細胞診よりも診断がよりはっきりとすることになります。標本作製・観察の手順は次のようになっています。

(A)採取された病変部の小さな組織は「ホルマリン」という液に浸されて提出されます。

(B)組織の一部を2μmから3μm(1μmは1000分の1mm)程度に薄く切り、スライドガラスに貼り付けます。

(C)細胞の「核」や「細胞質」などといった部分を染め分け、染め上がった標本組織をカバーガラスで封入して標本が完成します。

(D)でき上がった標本において、顕微鏡で細胞や組織の構造や細胞の形態を観察し、病理医が組織診断名(病名)と所見を報告することになります。

組織診の結果はどのようなもの?どのようにみる?

生検組織診は、「穿刺吸引細胞診の結果が判断しかねるような場合に行われることが多い針生検によるもの」、および「内視鏡検査時の生検によるもの」などがあります。結果として得られる所見は「癌(細胞)の悪性度(グレード)」「癌の種類(組織型)」などが中心になります。特に、組織診による悪性度(グレード)は、それぞれの臓器や組織により少しずつ異なっていますが、主に、「分化した細胞(正常細胞や良性腫瘍細胞など)と未分化な細胞の割合」や「癌細胞の増殖能」などを調べることによって判定されます。

一方、手術により摘出された臓器や組織手術材料に対して行われる組織診では、上記の判定項目に加え、病変(腫瘍)の大きさ、浸潤の有無、リンパ節転移の有無と個数、脈管侵襲(がん周囲の血管やリンパ管にがん細胞がみられるかどうか)についても調べられ、いわゆる癌の進行度(ステージ)の判定にも役立ち、術後の治療方針の決定にも利用されます。

生検、細胞診、組織診についてご紹介しました。疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。

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