妊婦の溶連菌感染症の症状、治療、胎児や出産への影響、予防方法

  • 作成:2016/03/10

「人食いバクテリア」として話題になった溶連菌による溶連菌感染症ですが、妊婦も注意が必要です。妊婦や胎児が気をつけるべき溶連菌は1割から3割の妊婦に常在しているとされますが、感染が確認された際の対応や胎児や妊娠への影響を含めて、医師の監修記事でわかりやすく解説します。

アスクドクターズ監修医師 アスクドクターズ監修医師

この記事の目安時間は3分です

溶連菌感染症は妊婦にリスク?

妊婦がかかる危険なB群

妊娠中には色々な検査がありますが、妊娠33週から37週で行われる検査に「B群溶連菌(GBS)」の検査があります。米国での調査結果によると、B群溶連菌は10%から30%の妊婦に存在することがある常在菌で、通常は身体に悪影響を与えることはありません。

しかし、分娩時に膣内にB群溶連菌が存在すると、赤ちゃんに感染を起こし、出生後の赤ちゃんに「敗血症」や「髄膜炎」「肺炎」といった命に関わる重篤な病気を引き起こす可能性があります。そのため妊娠の全例で必ず検査を行い、陽性の場合は抗生剤などを使用して赤ちゃんへの感染を防ぐように決められています。

B群の菌にはどのように感染する?

妊婦の1割から3割は、B群溶連菌の保菌者となっています。検査は全例の妊婦さんに対して行われ、膣及び肛門を綿棒でこすって培養を行います。分娩時に膣内や肛門にB群溶連菌が存在すると分娩時に赤ちゃんが感染するリスクが高くなってしまうためです。

保菌者のお母さんから生まれた赤ちゃんの約半数にB群溶連菌が発見されます。「菌が発見されたら即悪い」という訳ではなく、B群溶連菌が発見された赤ちゃんの約100人に一人が重症感染症を起こします。全体では2000から3000分娩に一例の割合で、B群溶連菌感染症が見られます。

GBSの妊婦の症状

GBSは、ごくまれに膀胱炎や子宮の感染症(羊膜炎、子宮内膜炎)を妊婦さんに、引き起こす場合がありますが、通常はGBS陽性であっても妊婦さんには症状はみられません。またGBSの保菌者といっても長期にわたって保菌する場合は少なく、自然と身体から菌がいなくなって、検査が陰性になることがしばしばあります。

胎児への影響はある?どのようなもの?

GBSは妊婦さんの腟内や直腸内に存在します。妊娠中はお腹の赤ちゃんは様々な仕組みにより、無菌的な環境に保たれており、お母さん側にGBSが存在しても妊娠中にお腹の赤ちゃんに影響を及ぼすことは通常ありません。

しかしごくまれにGBSが子宮内に入り込むと子宮の中で感染を起こし、羊膜炎や子宮内膜炎といった病気になることがあります。子宮内で感染が起こると早産や流産、前期破水の原因となったり、お腹の中で赤ちゃんが重大な感染症になる可能性もありすぐに治療が必要となります。

出産への影響はある?どのようなもの?

GBSが最も問題となるのが出産時です。出産の時にお母さんの膣や直腸内にGBSが存在すると赤ちゃんが生まれるときに感染を起こし、出生後に赤ちゃんが肺炎や髄膜炎といった命に関わる感染症を起こす可能性があるのです。そのため分娩時までGBSが陽性の妊婦さんは分娩前から抗生剤の点滴を行い、新生児への感染を防ぐ処置が行われます。

新生児が感染した場合の症状はどんなもの?死に至る可能性も

新生児などのGBS感染症は「早発型」と「晩発型」の2つに大別されます。

「早発型」は生まれてから1週間以内にGBS感染症の徴候がみられるもので、その大部分は誕生後数時間以内に発症します。新生児GBS感染症の75%から90%が早発型と言われています。早発型のGBS感染症では肺炎、髄膜炎、敗血症、呼吸不全などがみられます。

出生後1週間から数カ月の赤ちゃんでもGBS感染症を発症する場合があり、「晩発型」と呼ばれています。晩発型では肺炎や呼吸不全などの呼吸器感染症は少なく、髄膜炎や敗血症が多くなっています。その他には中耳炎、関節炎、骨髄炎、結膜炎、副鼻腔炎、蜂窩織炎など全身の各部位に感染症が起こる可能性があります。

晩発型のGBS感染症のうち、半分はお母さんがGBS保菌者ですが、残りの半分は感染の経路が不明であると言われています。これはお母さんが保菌者でなくても周囲の人に保菌者がいたり、手や口に触れるものがGBSで汚染されていて感染する可能性があるためです。

新生児に触れる場合はよく手を洗い、赤ちゃんの身の回りのものや哺乳瓶は常に清潔に保つよう心がけましょう。

妊婦の治療方法 気をつける点はある?

妊娠中の検査でGBS陽性になった場合、子宮内感染や前期破水のリスク、お腹の赤ちゃんに影響を及ぼす可能性を考えて、抗生剤による治療を行います。一般的には抗生剤の腟錠(膣に入れる錠剤)を使用します。腟錠だけで陰性にならない場合は抗生剤の飲み薬も使用します。この時に使用される抗生剤の飲み薬は、副作用はほとんどなく、お腹の赤ちゃんへの影響もないものを使用します。

これらの治療を行ってもGBSが陰性にならない場合、分娩時に抗生剤の点滴を使用し赤ちゃんへの感染のリスクを低下させます。分娩時の抗生剤の点滴により新生児のGBS感染症の危険性を20%以下まで減らせることができると言われていますが、残念ながら抗生剤の効果は菌の量や体質などの様々な要因から限度があり、現時点では、感染をゼロにすることはできません。

しかしGBSの早期発見と治療により確実に新生児のGBS感染症は減少しています。妊娠中の検査をきちんと受け、早期に発見することが非常に大切です。

妊婦の予防方法は?

GBSは直腸内に存在する常在菌の一つであり、予防するのは困難と考えられていますが、一時的に保菌状態となっても自然に陰性となる場合もしばしばみられます。これは身体の免疫力により自然に菌がいなくなる可能性があると考えられ、身体の抵抗力が落ちないように日常生活でも気をつけることが予防につながります。規則正しい生活をおくることや、下着はなるべく通気性の良いものを使用することも大切です。また便に混ざってGBSが排出されることがあるため、肛門周囲を触った手で外陰部を触らないように気をつけましょう。性行為で感染する可能性もあるため、性行為の前にはお互いにシャワーを浴びるなどして清潔を心がけることも大切です。


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溶連菌感染症の妊婦や胎児への影響などについご紹介しました。溶連菌感染症への感染可能性を不安に感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。

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