フィッシャー症候群の原因、症状、治療、予後 ギランバレーとの違いは?

  • 作成:2016/08/22

フィッシャー症候群は、主に眼の神経に異常が起きて、眼の症状が特徴的な神経に異常のおきる病気です。原因や症状、治療の必要性を含めて、医師監修記事で、わかりやすく解説します。

アスクドクターズ監修医師 アスクドクターズ監修医師

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フィッシャー症候群とはどんな病気?

フィッシャー症候群とは?

フィッシャー症候群は末梢神経に異常をきたす病気です。末梢神経とは手足や感覚器、または臓器などにある神経系のことです。末梢神経に異常があり、運動神経や感覚神経に障害が出る病気を「ニューロパチー」と言いますが、ギランバレー症候群はその1つで比較的よく知られています。

フィッシャー症候群は「ギランバレー症候群」と呼ばれる病気の特殊な形と言えます。ギランバレー症候群の特徴は手足の腱反射(ひじやひざを木槌などで叩くと持ちあがる反応など)と筋力の低下ですが、フィッシャー症候群では「外眼筋」と呼ばれる目の運動を担う筋肉が麻痺するのが特徴です。

その他にもギランバレー症候群と同様に腱反射の低下がみられたり、運動機能に問題が起こったりします。日本でのフィッシャー症候群の年間発症率は10万人あたり0.5人とされ、欧米(イタリア0.03人)よりも東アジア(台湾0.3人)での発症が多いようです。ギランバレー症候群と同様に男性の方が多く、あらゆる年齢層の人が発症します。

フィッシャー症候群の原因は

フィッシャー症候群では、ギランバレー症候群と同様に、急性期に血液中の「抗ガングリオシド抗体」の濃度が上昇します。「ガングリオシド」とは、「糖脂質」といわれる細胞の膜を作っている物質の一つです。ガングリオシドは、特に神経細胞に多く含まれます。糖脂質は脂質の部分と、糖が連なっている「糖鎖」(とうさ)と呼ばれる部分からできていて、糖鎖にはいくつもの種類があります。

フィッシャー症候群では、たくさんの種類の糖鎖の中で、「GQ1b」と呼ばれる糖鎖に対する抗体が上昇する(免疫が間違って対応しようとする)のが特徴です。GQ1bは「外眼筋」と呼ばれる眼に関する筋肉を支配する神経に多く含まれています。GQ1bに抗体が結合して、神経細胞を壊したり、その働きを阻害したりすることがフィッシャー症候群の原因です。

フィッシャー症候群の患者さんの約8割が発症以前に、喉の炎症など上気道炎を起こす菌やウイルスの感染を経験しています。感染の原因となる菌またはウイルスが同定(特定)されることは少ないですが、一部の患者さんで「インフルエンザ桿菌(かんきん)」という菌が見つかっています。この菌は「 GQ1b」 によく似た成分を持っていることがわかっています。インフルエンザ桿菌に感染した際には通常、人の体の中で菌に対する抗体が作られます。抗体のおかげで再び菌に感染したときには、速やかに菌を駆除することができます。ところが、人の神経細胞にあるGQ1b糖鎖はインフルエンザ桿菌の成分によく似ていることから、抗体は人の神経細胞を誤って攻撃してしまうのです。

フィッシャー症候群の症状

フィッシャー症候群に特徴的な初期症状としては、眼の筋肉が麻痺することで起こる「複視(物が二重に見えること)」や、運動失調からくる「ふらつき」です。半数の症例では、ギランバレー症候群と同様に腱反射の消失が見られます。また、半数以上の人はまぶたが下に垂れ下がり、半数弱の方に瞳孔が動かないといった目の異常も見られます。約3割では顔面神経の麻痺があり、思うように顔の筋肉を動かすことができません。しびれなど感覚の障害は2割前後にみとめられます。眼の異常があることから最初は眼科を受診することが多いですが、精密な検査は神経内科で行なわれます。

フィッシャー症候群の治療、予後

フィッシャー症候群は、ほとんどの場合、半年以内に自然に回復します。そのため重症化した場合をのぞき、特に治療を必要としません。

約1カ月でふらつきなど(運動失調)は改善し、3カ月で目の筋肉の麻痺(外眼筋麻痺)がとれます。また回復後も後遺症などは起こりにくいようですが、高齢であったり、急激に重症化が起こったり、外眼筋すべて(6種類)が麻痺した場合には後遺症が残る可能性が大きくなります。また同時にギランバレー症候群を発症することがあり、免疫療法が必要になる場合があります。

フィッシャー症候群が再発した例がいくつか報告されています。再発率に関するデータはありませんが、再発可能性はあるようです。再発までの期間にはばらつきがありますが平均9.5年で、10年以上たってから再発した例も報告されています。最初に発症した時と同じような症状が出ますが、順調に回復し予後は良好です。再発の原因はわかりませんが遺伝的な原因も示唆されている状況です。



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フィッシャー症候群についてご紹介しました。眼の神経症状に不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。

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