コルサコフ症候群の原因、症状、治療、予防、再発 物忘れが特徴?

  • 作成:2016/06/01

コルサコフ症候群は、長期の飲酒などで起きる健忘症です。一度なると治りにくいため、治らないように生活を送るのが大事となります。症状や治療の概要も含めて、専門医師の監修記事で、わかりやすく解説します。

アスクドクターズ監修医師 アスクドクターズ監修医師

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コルサコフ症候群の症状とは?

コルサコフ症候群の原因

コルサコフ症候群とは、長期のアルコール摂取などが原因で起こる健忘症(言語で表現できる記憶の障害、物忘れ)のことです。深刻な物忘れ、時間や場所の感覚がなくなる、作り話をするといった症状が見られます。

コルサコフ症候群は、「ウェルニッケ脳症」(https://askdtopics.jp/articles/200454)の慢性期(後遺症)にあたるもので、ウェルニッケ脳症を治療しなかった場合、80%の人がコルサコフ症候群になります。ウェルニッケ脳症とは、ビタミンB1が不足することで意識障害や眼球運動障害、運動失調を起こす病気です。ビタミンB1が不足する原因は、摂食障害や胃の全摘出後などさまざまですが、特にアルコールとの関連性が深いことが分かっています。同一の病気として、まとめて「ウェルニッケ・コルサコフ症候群」と呼ぶこともあります。

ただし、ウェルニッケ脳症以外の原因も報告されています。頭部外傷、脳卒中、脳腫瘍、一酸化炭素中毒、認知症を患った場合も、コルサコフ症候群を引き起こすことがあります。

コルサコフ症候群の症状

コルサコフ症候群の主な症状は3つです。まず「記憶障害」があげられます。患者さんの脳を頭部MRIで見てみると、脳萎縮が顕著で、特に「海馬」という記憶に関連する部位にも萎縮が見られます。病気になる前の記憶が失われたり(逆行性健忘)、新しいことを覚えられなくなったり(前向性健忘)する傾向が見られます。一方で、計算力や理解力、会話力は比較的問題なく保たれていることが少なくありません。

「見当識障害」も代表的な症状です。日付・時間・曜日・季節の感覚がなくなり、自分が今いる位置も分からなくなります。家族や親しい知人が認識できなくなることもあります。

さまざまな記憶が失われているため、話のつじつまが合いません。そしてそれを隠そうとするために、もっともらしい作り話をする「錯話症(さくわしょう)」になります。会話力はあるため話を作って伝えることはできますが、よく聞くと矛盾点や不可解な点があり、しばしば周囲の混乱の原因となります。

これらの3つが主症状ですが、他にも性格が変わる、錯乱や無気力が生じるなどの症状を伴うこともあります。

コルサコフ症候群になったら何科に行く?治療方法は?

コルサコフ症候群が疑われる場合、何科に行けばいいのか迷うところですが、一般的には「神経内科」、「神経科」、「精神科」あたりが適切です。普段からアルコールの多飲が見られるようでしたら、アルコール依存症の専門クリニックでも診断可能です。また、コルサコフ症候群は重症化すると「認知症」と診断されることもあるので、「認知症外来」や「もの忘れ外来」といった診療科がある病院でしたら、そこでもかまいません。頭部外傷や脳出血、脳腫瘍の可能性がある場合などは「脳神経外科」を受診しましょう。

どの病院に専門の診療科があるか分からないときは、各自治体の保険医療センターなどにある相談窓口を利用する方法もあります。

コルサコフ症候群の治療は、まず不足しているビタミンB1 の投与です。緊急の場合は静脈から、治療開始後は服用することで補給します。同時に生活スタイルの改善が求められます。栄養バランスを考えた食事療法、規則正しい日常生活を送るために必要なリハビリがおこなわれます。もちろん断酒は欠かせません。

頭部外傷や脳出血が原因の場合は、比較的予後は良くコルサコフ症候群もかなりの確率で改善していきます。しかしウェルニッケ脳症が慢性化したことが原因であれば、元通りに回復するのは難しいと言わざるをえません。完全に回復する患者は20%のみで、残りは外来で通院を続けながら病院のデイケアや介護保険を使ったデイサービスに通うなど、経過観察と治療を続ける必要があります。

予防と再発可能性

コルサコフ症候群を予防するには、まずその前段階であるウェルニッケ脳症を発症しないことが重要です。ウェルニッケ脳症は栄養不足とアルコールの多飲が原因なので、普段からの食生活と節度ある飲酒(できれば断酒)が必要です。

コルサコフ症候群は、一度発病してしまうと予後はあまりよくありません。経過は基本的に不可逆的で、つまり完全に治ることは難しい病気なので、適切な治療やリハビリをしながらなるべく症状が進行しないように努める必要があります。しかし中には数カ月や数年かけて症状が改善する人もいます。

アルコール依存症に由来することの多い、いわゆるウェルニッケ・コルサコフ症候群の場合、一時的に軽快することはあっても再発が多く予後不良です。アルコール依存症自体が大変再発の危険が高いために、コルサコフ症候群が長期間にわたって再発する可能性はけっして低くありません。アルコール依存症の治療は、専門家の力を借りながら根気強く続ける必要があります。

コルサコフ症候群についてご紹介しました。周辺の方の物忘れが強く不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。

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