インフルエンザ検査の種類、解熱剤はどう使う?タミフルは危険?

  • 作成:2017/01/16

急速に高熱が出るのがインフルエンザの1つの特徴ですが、予防接種や風邪薬の使用で高熱が出ない場合もあります。インフルエンザの検査法は、さまざまですが、よく知られているのは「迅速診断キット」と呼ばれるもので、医療機関で簡単に受けられるのも特徴です。ただ、迅速診断キットについては、新しい型のものを検出できないといった限界もあります。 インフルエンザの薬には、大きく2種類あり、その中には、報道で話題になった「タミフル」なども含まれます。症状に応じた薬が処方されるケースもありますが、インフルエンザ脳症という重大な病気につながる可能性が指摘されているものもあります。インフルエンザの検査や薬について、医師監修記事で、わかりやすく解説します。

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医師と女性

目次

ウイルス学的検査と血清学的検査

インフルエンザの検査方法には、大きくわけて、「ウイルス学的検査」と「血清学的検査」があります。ウイルス学的検査とは実際にウイルスがいることを証明する検査で、「ウイルス分離」、「酵素免疫法(こうそめんえきほう)」、「蛍光抗体法(けいこうこうたいほう)」、「迅速抗原検出(じんそくこうげんけんしゅつ)キット」、「RT-PCR法」と呼ばれる方法があります。ほとんどが判定までに、1日から3日の時間がかかり、実用的でない側面があります。

現在、広く「検査キット」として認識されていて、かつ、多く使用されているのは「迅速抗原検出キット」と呼ばれるもので、です。咽頭(いんとう、喉の奥部分)をこすった綿棒から作った咽頭拭い液や、うがい液、鼻水を使って検査するものです。

検査するタイミングとしては、ウイルスが十分に体の中で増殖(ぞうしょく)する「症状が出てから12時間以上」が目安です。それ以外の検査でも、体内で少しずつにウイルス量が減っていくので、遅くとも症状が出てから72時間以内に体液をとるようにしています。

血清学的検査とはそのウイルスに感染したことを証明する検査ですが、あまり使用されません。

迅速診断キットの概要

迅速診断キットは、体の中の免疫反応を利用した検査です。判定する部分には、インフルエンザA型とB型、それぞれのウイルスに反応するものが塗られています。鼻水や喉から採取液体などに含まれるインフルエンザ関連の物質が、この抗体と結合すると、発色します。多くのキットが販売されています。

キットによって感度、特異度は異なりますが、多くは感度(*1、検査結果の「陽性」が信頼できる程度)が44%から97%、特異度76%から100%(*2、検査結果の「陰性」が信頼できる程度)です。キットでは「実際に病気があるのに、結果が『陰性』」、「実際には病気がないのに、結果が『陽性』」の結果が出ることがあります。つまり、検査結果は絶対ではありません。

*1感度:「検査結果陽性で、病気あり」と「検査結果陽性でも、病気なし」の人の合計のうち、「検査結果陽性で病気あり」の人の割合。例えば、「感度が50%」の場合、2人1人は、「陽性」の結果が出ても、病気がないことになります。

*2特異度: 「検査結果陰性で、病気なし」と「検査結果陰性でも、病気あり」の人の合計のうち、「検査結果陰性で、病気なし」の人の割合。例えば、「特異度50%」の場合、2人1人は、「陰性」の結果が出ても、病気があることになります。

その他の検査の概要と必要性

普段の診察時には迅速抗原検出キットが使用されます。血清検査が用いられる事は多くありませんが、それ以外の「ウイルス学的検査」は特に必要不可欠なものです。インフルエンザが流行した時に、そのインフルエンザウィルスがどのような性質をもっているかを知ることで、ウイルスに対する対策をたてられるようになり、予防に必要なワクチンを作成、供給することができるようになります。

ウイルス検出検査の一つである「ウイルス分離」は判定まで時間がかかるという問題はありますが、原因ウイルスを特定するには最も感度が高く、信頼できる方法です。検体から得られたウイルスを用いて、さらに「RT-PCR法」というウイルスのDNAを増やす検査を組み合わせることで、インフルエンザウィルスの表面に存在する「赤血球凝集素(せっけっきゅうぎょうしゅうそ)」と「ノイラミニダーゼ」という2種の抗原の種類を確認し、さらに細かい抗原の変異も確認することができます。つまり、インフルエンザウィルスの型をしっかりと判定できるので、予防などの対策も立てやすくなるわけです。

検査は新型に対応できるか

インフルエンザウィルスはそのシーズンにより同じA型、B型でも、わずかに抗原性が変化することで、人間の免疫が反応できなくなるため、季節性流行が起こります。これとは別に、インフルエンザウィルスは大きく変化を起こすことがあり、それが一般的に「新型」と呼ばれるものになります。新型も基本的にはA型、B型のどちらかですので、インフルエンザ迅速検査ではインフルエンザであるという診断、つまりA型、B型の診断をつけることは可能です。

しかし2009年に流行した新型がそうであったように、迅速検査では、「新型かどうか」を診断することはできません。そ新型を判定するためには、RT-PCR法などのウィルス学的検査によって、詳しく検査をして診断を付ける必要があります。

診察を受ける子供

30分で結果、2000円程度

インフルエンザとはインフルエンザウィルスに感染することによって起こる病気で、38℃以上の高熱や頭痛、関節痛、筋肉痛などの全身症状を引き起こします。咳、鼻水、のどの痛みなどの症状も見られる点で普通の風邪と似ていますが、命にかかわるほど重症化する危険性があります。インフルエンザウィルスが流行するのは例年12月から3月ごろで、夏などにはほとんど症例がなくなります。

インフルエンザウィルスに感染しているかどうかを30分ほどで調べる検査キットが開発され、広く使われています。検査方法は、患者の鼻かのどの粘膜に綿棒をこすりつけ体液を採取し、それを処理して、一定時間経ったら、その液で検査キットが変色するかどうかを見るというものです。この検査キットなら高度な技術が必要なく、一般の診療機関でも手軽に検査をすることができます。

この検査は「抗原抗体反応(こうげんこうたいはんのう)」を利用していて、患者の粘液の中にインフルエンザウィルス特有のタンパク質が含まれているかを見分ける仕組みになっています。

検査費用は病院によって異なりますが、だいたい2000円ほどの自費負担で受診可能です。インフルエンザ感染が疑われる際は、医師の判断で保険適用されることがほとんどですから、安心して検査を受けてください。

インフルエンザの診断に大いに貢献している検査キットですが、ウィルスの型や検査をするタイミングによってはインフルエンザを検出しきれないことがあります。

検査キットで検査する時期としては、発症後12時間以上経過してからとなります。タイミングが早すぎると、ウイルスが検出ができないためです。一方で、インフルエンザ治療薬は発症後12時間以内の服用が理想とされています。なお治療薬の効果があるのは最大で48時間以内となっています。

また、少数ではありますが、a型ウィルスかb型ウィルスのどちらかしか検出できないものがあります。そのため検査キットで判定可能なタイプと、患者のかかっているウィルスのタイプの組み合わせによっては、実際は陽性(インフルエンザにかかっている状態)であっても「陰性」、つまりインフルエンザにかかっていないという結果が出てしまうことがあり注意が必要です。

現在は、一回の検査で確実にウィルスを検出できるよう検査キットの性能向上が研究されています。

「陰性」と言われても、急な身体症状に注意

ウィルスの型やタイミングが合わなかったことによって、インフルエンザに感染していても陰性と結果が出てしまうことは珍しくありません。

検査で陰性の判定が出ても、インフルエンザの特徴である高熱、倦怠感などの全身症状が突然始まるなどした場合は、陰性であると安心せず、注意して様子を見る必要があります。他人との接触も極力避けてください。何日か経っても熱が下がらなかったり、症状が治まらない場合は、再度医師に相談してみましょう。

なお、予防のためのワクチンや治療のための薬が開発されていますが、インフルエンザのウィルスはどんどん進化して、体の免疫機能が反応できなく変化するため撲滅が難しく、毎年流行が見られるのが現状であることも覚えておきましょう。

子ども

インフルエンザウイルスは変化しやすい

インフルエンザとは、インフルエンザウイルス感染によって発症する感染症です。日本では毎年冬から春先にかけて流行することが知られています。普通の風邪と比べて急速に発症します。せきや喉の痛み、鼻水といった一般的な風邪症状に加えて、高熱や関節痛などの全身症状が強く現れるという特徴があります。通常1週間程度で自然に治りますが、重症化することもあり、小さいな子供や高齢者は死にいたることもあります。

インフルエンザは、一般的な風邪と同じく咳やくしゃみなどによる「飛沫感染」で広がりますが、非常に流行しやすいという特徴があります。これは、インフルエンザのウイルスが、RNAという複製ミスの起こりやすい遺伝子を持っていて、ウイルスが増殖するときに、ウイルスの構造が微妙に変化してしまうことに起因します。ウイルスに変化が起きると、以前かかって体内にできたインフルエンザに対する免疫が、ウイルスの変化についていけず、症状が出てしまいます。

インフルエンザウイルスにはA型、B型がありますが、このうちA型ウイルスは遺伝子を大きく変化させることが知られています。このような大きく変化したウイルスは「新型インフルエンザ」と呼ばれ、世界的な大流行を引き起こす危険性があります。

簡単な迅速検査キット

インフルエンザの診断検査として、鼻水や喉を拭ったときに付着する粘液を使った「迅速抗原検査キット」による検査が行われています。検査キットにはA型・B型インフルエンザウイルスに反応する物質が塗られており、粘液の中にウイルスがいると反応して、色が変わる仕組みになっています。鼻水や喉から液体を採取するだけで、簡単かつ短時間で判定することができるため、診療に広く用いられています。

熱が出ないケースもありえる

インフルエンザウイルスに感染すると、38℃以上の高熱、頭痛、眼の充血、寒気、全身のだるさ、筋肉痛や関節痛といった強い症状が急速に現れ、続いて、せき、喉の痛み、鼻水といった風邪のような症状が出てきます。通常の風邪では、せきや喉の痛みの後で熱が出ることが多く、症状が逆の経過で出てくることが多いです。また、頻度はそれほど高くはありませんが、高齢者では肺炎を、小さな子供はインフルエンザ脳症という脳障害を別の病気として起こし、後遺症が残ったり、最悪の場合は死に至ることもあります。

通常、高熱が出ることが知られるインフルエンザですが、ときには熱が出ない場合もあります。これには、2つの理由が考えられます。まず第一に、予防接種を受けていることが挙げられ、ワクチンによって症状が軽いままに治ってしまうことによるものです。2つ目の理由として、市販の風邪薬などを服用している可能性が考えられます。急な熱や倦怠感から、すぐに風邪薬を飲んでしまい、一時的に発熱や頭痛などの症状が抑えられている可能性があります。

関節痛や速い脈には注意

このように熱が出ない場合もあります。それでは熱以外のどのような自覚症状でインフルエンザを疑えばよいのでしょうか。まず1つに筋肉痛や関節の痛みが挙げられます。これは炎症によるものなので、動かしたときに痛むものではなく、じっとしていても痛むという特徴があります。その他、身体のだるさや寒気といった全身症状や、熱がないのに脈が速いといった症状が挙げられます。

いずれにせよ、自覚症状だけでは、インフルエンザと普通の風邪を判別することは難しいです。熱が出ていない場合でも、知らないうちにインフルエンザを他の人にうつしてしまう可能性もあります。なので、少しでも「インフルエンザかもしれない」と思う症状があった場合は医療機関にて医師の診断を受けるようにしましょう。

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抗インフルエンザ薬は2種類

細菌による感染症に対しては抗菌薬(いわゆる抗生物質)が有効ですが、インフルエンザを含むウイルス感染症では、自然に治る力に頼らざるを得ないというのがこれまでの状況でした。しかし、近年になりインフルエンザウイルスに直接作用する抗インフルエンザ薬が治療に使用されるようになりました。

まず抗インフルエンザ薬は、効くメカニズムの観点から大きく2つの種類があります。1つは「シンメトレル(一般名:塩酸アマンタジン)」という「M2蛋白(たんぱく)阻害薬」と呼ばれるものです。アマンタジンは、もともと、全身の動きに影響のでる難病「パーキンソン病」の治療薬として使用されており、その後1998年にインフルエンザ治療薬として承認された変わった経緯の薬です。

アマンタジンは「M2蛋白」というインフルエンザウイルスがヒトの細胞内に侵入する際に必要なたんぱく質の働きを阻害することで、ウイルスの増殖を抑制します。ただし、アマンタジンはA型のインフルエンザにしか効果がない点に注意が必要です。また、ウイルスが増殖している時期に服用しないと効果が発揮できないとされているため、発症から48時間以内に投与します。基本的に1日1回か2回、5日間使い続けることとなります。

タミフルは危険なの?

もう1つの種類が「ノイラミニダーゼ阻害薬」と言われ、細胞内で増殖したインフルエンザウイルスが、細胞の外に出て行くことを阻害する薬です。やはりこちらの薬も発症から48時間以内での投与が目安となりますが、A型だけでなくB型にも有効とされています。

現在ではノイラミニダーゼ阻害薬の方がインフルエンザ治療の主流となっており、リレンザ(一般名:ザナミビル)、タミフル(一般名:オセルタミビル)、ラピアクタ(一般名:ペラミビル)、イナビル(一般名:ラニナミビル)などがあります。この中でタミフル、リレンザはよく聞いたことがあると思いますが、タミフルはカプセルで内服、リレンザは吸入の薬になります。基本的にどちらも5日間使用することになります。

タミフルはインフルエンザに非常に効果のある薬ですが、以前にニュース等でも話題になったように異常行動との関連している可能性が報道されました。具体的には10歳以上の未成年において、転落や飛び降りといった異常行動で亡くなった方がいるというものです。しかし現在のところ、因果関係は不明であり、タミフルの使用にあたっての注意文書(添付文書といいます)では「10歳以上の未成年では、症状が重たいなどリスクの高い場合を除いて、原則として使用しないように」と警告されています。また、使用する場合には、保護者等が未成年者を一人にしないように注意を促しています。

解熱鎮痛剤には注意

抗インフルエンザ薬以外のインフルエンザの治療法としては、対症療法(原因でなく症状に対応した治療)が基本となります。高熱に対しては解熱剤、咽頭痛に対しては消炎鎮痛剤、咳に対しては鎮咳薬というようにそれぞれの症状に合わせた薬を処方することで症状を抑えていきます。

ただし、解熱鎮痛剤に関しては注意が必要です。厚生労働省の報告によれば、アスピリン、ボルタレンなどの解熱鎮痛剤は、小児で死亡や後遺症の確率の高くなる「インフルエンザ脳炎・脳症」を重症化させることがあるとされています。比較的安全な薬としてはカロナール、アンヒバなどの「アセトアミノフェン」と呼ばれる種類の薬が挙げられますが、特にインフルエンザ脳症を合併しやすい小児では解熱剤の使用は避けた方がよいと言えます。

また、ロキソニンについては、インフルエンザ脳症の発症がまれな大人では、カロナールに比べて解熱の効果も高いことから処方されるケースもあります。ただ、基本的には抗インフルエンザ薬で徐々に解熱していきますので、それでも解熱しないようであれば早めに医療機関を受診することをお勧めします。


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