子宮筋腫の手術後、妊娠への影響は

  • 作成:2016/02/01

子宮筋腫は女性ホルモンとの影響が指摘される良性腫瘍です。良性腫瘍とはいえ、手術が必要なケースや、妊娠に大きな影響を与える場合があります。どのような治療があり、妊娠とどう関係があるのかを、専門医師の監修記事で、わかりやすく解説します。

平松晋介 監修
ちくご・ひらまつ産婦人科医院 院長
平松晋介 先生
妊婦

子宮筋腫は良性腫瘍

子宮筋腫というのは、本来子宮を構成する細胞だった「平滑筋」という筋肉細胞が異常増殖することで腫瘍になったものです。ガンとは違い、腫瘍を作り出す異常増殖する細胞が転移することはなく、増殖速度自体も緩やかなため人体に大きな悪影響を及ぼすことのない良性腫瘍です。

子宮筋腫ができる原因はまだ解明されていません。しかし、筋腫は初潮後に発生し、閉経後に縮小することから女性ホルモンであるエストロゲンが子宮の細胞に何らかの影響を与えていると考えられています。女性であれば誰でも起こる可能性があり、子宮筋腫ができるかどうか、筋腫がどこにできてどれくらいの速度で成長するかなどの要因は、本人の体質的なものに左右されます。

そのため、できる場所も筋腫の成長速度も人によってバラバラでです。体質的な問題であるため、一度に多数の筋腫ができたり、腫瘍だけを摘出しても再発することがあるため、よほどの症状が出ない限り体に負担のかかるような治療をすることはありません。

貧血や強い痛みの場合は要手術

子宮筋腫は良性腫瘍であり、命に関わることがないとはいえ、症状やその人の状況によっては手術等の治療が必要になるケースもあります。

例えば、子宮筋腫が原因で月経時の出血が多く、貧血になり日常生活に支障を来す場合があります。また、純粋に強い痛みを生じるような場合も、治療の必要があるでしょう。他にも、腫瘍が大きくなりすぎたために膀胱や腸などを圧迫し、排尿や排便に異常が出るような場合にも治療が必要です。

基本的には、日常生活に支障が出るかどうか、本人がそれによって強い苦痛を受けているかどうかが手術をするかどうかの基準になるといえます。

不妊、早産、逆子のリスクあり

命に関わることがないとはいえ、妊娠の予定がある人の場合は注意が必要です。子宮内部にできた筋腫が不妊の原因となったり、子供がうまく育たず流産に繋がったり、早産になるリスクもあります。また、筋腫の位置や大きさによっては子宮内で子供が姿勢が正しくならず、逆子として生まれてくるケースもあります。こういったリスクを考えると、症状の緊急度が低いからといって無視できるものではありません。

手術で子宮の摘出が必要な場合も

さらに、子宮筋腫を摘出する場合、子宮の全摘出が必要となる場合があり、妊娠できなくなってしまいます。しかし、技術の向上で筋腫のみ摘出が容易になり、開腹しなくても、内視鏡などを使えば母体への負担が減り、小さな傷口で手術ができるようになっています。手術に対するハードルは下がっているようです。

ただ、子宮を全て摘出しないかぎり再発のリスクはつきまといます。出産のために筋腫を摘出する場合には、手術から妊娠・出産までの流れを計画的に行う必要があるでしょう。

薬物治療中は妊娠できない

まず、子宮筋腫の薬物治療では、筋腫が成長する原因物質である女性ホルモンの分泌を抑えたり、症状を軽減させるための避妊薬などが用いられることが多いため、薬物治療中の女性は妊娠できなくなります。基本的には、すぐに妊娠予定のない女性に対して使われる方法です。

さらに、この治療で筋腫が完全に無くなることはなく、薬物治療を止めるとすぐに筋腫は成長を始めます。また、子宮筋腫は閉経と同時に小さくなっていく傾向があるため、閉経までの繋ぎとして用いられることが多いです。若い女性に使われる場合、手術前に筋腫の状態を調整したり、月経で体力が衰えるのを防いだりするために一時的に使われるだけで、長期的に投与されることはありません。

器具を使っている間の妊娠も難しい

また、月経時の出血が多く日常生活に支障を及ぼす様な方には、いわゆる「子宮内リング」に「黄体ホルモン」という女性ホルモンの一種を放出させる機能を持たせた、子宮内システムを使った治療をすることがあります。この治療中は妊娠ができませんが、器具を抜去すれば、すぐに妊娠可能になりますので、妊娠前の一時的な治療にも適しています。

普及していない治療法もある

子宮筋腫に、外部から高エネルギーの超音波を照射し子宮筋腫を焼く、「集束超音波治療」という方法もあります。治療対象に制限はありますが、体への負担の少ない治療方法です。

また、子宮をに栄養を送っている動脈の血流を一時的に止めて、筋腫を縮小させる、「子宮動脈塞栓術」という治療法もあります。血管の中に細い管(カテーテル)を入れて、子宮動脈にスポンジ状のゼラチンを詰めます。ゼラチンそのものは数週間で吸収されますが、その間に子宮筋腫が縮小します。体への負担の少ない治療方法です。

これらの治療は、健康保険の適応がなく、自費の治療となります。治療後の妊娠についての影響は十分にわかっていませんが、治療後に妊娠された方も多くいます。まだ広く普及していませんが、今後注目されている治療です。

若い女性と関連の深い子宮筋腫について妊娠との関連を中心に紹介しました。もしかして子宮筋腫かもしれないと不安に感じている方や、この病気に関する疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?

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